3. 「世帯年収3000万円」が分岐点!新富裕層に共通する4つの消費行動
こうした多額の税を負担する高所得者層の中でも、とくに「世帯年収3000万円」を超える層は、独自の価値観や消費行動を持っていることがわかっています。博報堂富裕層マーケティングラボ(HAML)「新富裕層調査2025」によると、この「世帯年収3000万円」というラインを境に、彼らの意識・価値観や消費行動が大きく変化することが明らかになっています。
具体的には、このラインを境に以下の4つの特徴が顕著になります。
①投資のリスク資産化
手堅いNISA(少額投資非課税制度)などにとどまらず、暗号資産やアクティブファンド(市場平均以上の収益を目指す投資信託)などのリスク資産へも投資の幅を広げます。金融資産1億円以上の「資産富裕層」へとシフトする傾向があります。
②「時間」と「健康」への徹底投資
タイパ(タイムパフォーマンス:時間対効果)を重視し、家事や育児のサポートサービスなどを外注する傾向が強まります。家族と過ごす時間や自身の心身の健康維持など、お金で時間を買う工夫をしています。
③次世代への教育投資
お子様の教育において、多様な価値観に触れさせるための海外留学などを積極的に検討する傾向があります。
④ストーリー消費
単に高価なブランド品を買うのではなく、商品が作られた背景や文化的価値、企業の理念などに共感して消費を行う傾向があります。
このように、一定の収入水準を超えた新富裕層の消費行動は、単な贅沢や自己顕示のためではなく、自身の「資産」や「時間効率」を最大化するための理にかなった選択であるといえます。
4. 暮らしに活かせる!新富裕層から学ぶ3つの「お金と時間の使い方」
世帯年収3000万円という数字は遠く感じるかもしれませんが、彼らの価値観の中には、私たちが日々の暮らしに取り入れられる実用的なヒントが隠されています。
「時間」を買う意識を持つ
最新の時短家電(お掃除ロボットや自動調理鍋など)を取り入れたり、時には家事代行サービスを利用したりすることで、心身の休息や家族との会話の時間を増やすことができます。
無理のない範囲での資産形成
リスクの高い投資をすぐに真似る必要はありません。まずは月数千円からでも、NISAを活用してコツコツと長期的な資産形成を始めることが、将来の安心につながります。
納得のいく「ストーリー」にお金を使う
日々の買い物でも、「安いから」という理由だけでなく「長く愛用できるか」「応援したい企業か」を意識することで、無駄遣いが減り、満足度の高いお金の使い方ができるようになります。
5. まとめにかえて
今回は、日本の税収を支える新富裕層の人数分布や、彼らが持つ独自の経済感覚について解説しました。全体の約2割に過ぎない所得1000万円超の層が所得税収の約9割を負担しているという事実は、日本の税制の特徴を色濃く表しています。また、世帯年収3000万円を超える層は、単なる贅沢ではなく「時間」や「資産」の効率を最大化する合理的な消費行動をとっていることがわかりました。
これまで数多くの方のライフプランをサポートしてきましたが、お金の使い方にはその方の人生観がそのまま表れると感じています。他者の多様な価値観を認めつつ、ご自身の現状に合った無理のない資産形成の方法を見つけていくことが何より大切です。
日本の税収構造を知ることは、ご自身の家計や社会の仕組みを客観的に見直す良いきっかけになります。新富裕層の「時間と健康への投資」は、収入の多寡に関わらず、現代を生きる私たち全員にとって大切な視点です。まずはご自身の現在の収支を把握し、お金を「何に使うか」だけでなく「何のために使うか」を考える時間を作ってみることをおすすめします。
参考資料
徳田 椋
著者
京都府宇治市出身。大学卒業後、ブライダル業界へ。
その後、オリックス生命保険株式会社、大手総合保険代理店にてFPとして個人向けのコンサルティング業務に従事。特に働き世代の資産形成や老後資金準備のサポートを得意とする。「シンプルで分かりやすい」をモットーに専門用語を使わない丁寧なアドバイスが強み。
現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として、資産運用・保険の見直しなど幅広くサポートを行う。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員(証券外務員一種)、TLC(生保協会認定FP)