5. 公的年金の受給額には、大きな個人差がある
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)で5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)で15万円台です。
グラフのように、厚生年金を月額30万円以上受け取っている人もいれば、国民年金・厚生年金ともに月額3万円未満となる人まで、幅広い受給額ゾーンにちらばっています。
年金の受給額が少ない方の中には、年金だけで生活費をまかなうことができず、生活保護を利用しているケースもあります。年金生活者支援給付金と生活保護の関係についても確認しておきましょう。
6. 生活保護を受けている世帯のうち55.3%が高齢者世帯
厚生労働省の「被保護者調査(令和8年6月分概数)」によると、生活保護を受けている世帯(保護停止中を除く)は約163万6000世帯にのぼり、そのうち55.3%にあたる約90万3500世帯を高齢者世帯が占めています。年金だけでは生活費をまかなえず、生活保護を利用している高齢者世帯が多いことがうかがえます。
6.1 生活保護を受けていても、年金生活者支援給付金の対象になる
生活保護を受けている方であっても、支給要件を満たしていれば年金生活者支援給付金を受け取ることができます。生活保護制度には、年金や各種手当などほかの制度で受けられる給付がある場合はまずそれらを活用するという「他法他施策優先」の原則があるため、生活保護を受けている場合でも年金生活者支援給付金の請求手続きは基本的に必要です。
6.2 受け取った給付金は「収入」として認定され、生活保護費が調整される
ただし注意したいのは、年金生活者支援給付金を受け取ると、その金額がそのまま「収入」として認定される点です。厚生労働省の実施要領では、年金や恩給、その他の公的な給付は、実際に受け取った額をそのまま収入として認定する取り扱いになっています。生活保護費は、世帯の最低生活費から収入認定額を差し引いた不足分が支給される仕組みのため、年金生活者支援給付金を受け取った分だけ生活保護費が減額され、世帯全体の手取り収入額そのものは基本的に変わりません。
7. まとめ
公的年金の受給額には個人差があり、厚生年金・国民年金ともに月額30万円以上を受け取っている人がいる一方で、月額3万円に満たない人もいます。こうした年金収入が少ない方の暮らしを支える制度が「年金生活者支援給付金」で、2026年度の給付額は月額5620円(老齢・遺族の基準額、障害1級は7025円)と、前年度から3.2%増額されました。
年金だけで生活費をまかなえず、生活保護を利用している世帯も少なくありません。実際に、生活保護を受けている世帯のうち55.3%を高齢者世帯が占めています。生活保護を受けている場合でも年金生活者支援給付金の申請自体は必要ですが、受け取った額は収入として認定され、同額が生活保護費から差し引かれる仕組みになっている点は押さえておきましょう。
自分が年金生活者支援給付金の対象になるかどうかは、前年の所得や世帯の状況によって決まります。該当しそうな場合は、届いた請求書を忘れずに提出しておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「65歳の誕生日を迎える方で、老齢基礎年金を新規に請求する方」
- 日本年金機構「「支給金額変更通知書」(または「不該当通知書」)が届きました。なぜですか。」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金生活者支援給付金にかかる支給金額のお知らせの送付について」
- 厚生労働省「被保護者調査(令和8年6月分概数)」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」
橋本 優理
