6. 現役FAが教える!「資産1000万円」を達成した現役世代に共通する、お金の貯め方・資産形成のコツ
預貯金で1000万円という節目を達成しても、その先どう資産を育てていけばよいのか、具体的な道筋が見えていないという方は少なくありません。
6.1 30歳代・独身の方に多いお悩みは「老後資金としてこの金額で足りるのか」「保険の見直し方が分からない」

個人年金保険や医療保険、がん保険にも入っていますが、それぞれ本当に必要なのか、保障内容と保険料のバランスが適切なのかも判断できずにいます。
30歳代で預貯金1000万円という節目を達成した方に多いのが、老後資金としてこの金額で十分なのかという漠然とした不安を抱えているケースです。
また、個人年金保険を見直してみると運用効率がほとんど上がっていないことに気づいたり、医療保険・がん保険・特定重度疾病保険など複数の保険に加入しているものの、保障内容と保険料のバランスが適切なのか把握できていない方も少なくありません。
こうした方に多いのは、資産を「貯める」段階から「育てる」段階へどう移行すればよいのか分からず、銀行預金にそのまま置いた状態で、次の一歩を踏み出せずにいるという状況です。
6.2 【ファイナンシャルアドバイザー・中島卓哉が回答】資産1000万円を「育てる」ための3つの考え方
1000万円という節目に達した方に共通しているのは、貯めた金額の大きさそのものよりも、シミュレーションで現在地を確認し、既存の商品を定期的に見直し、目的別に資金を色分けするという、地道な習慣を続けている点です。
逆に立ち止まってしまうのは、「増やさなければ」という気持ちが先に立ち、何にいくら必要なのかを決めないまま商品を探し始めたときです。順番としては、必要額の確認、既存契約の点検、そのうえで置き場所の設計、という流れになります。
6.3 ポイント1:シミュレーションで「今の資産で足りるのか」を確認する
まず大切なのは、「今の資産で本当に足りているのか」を数字で確認することです。漠然とした不安のまま貯め続けるのではなく、必要額と現在地を具体的な数字で並べることが、次の一歩を決める土台になります。前のページで試算したような年金の見込み額は、その出発点として使えます。
6.4 ポイント2:既存の商品と保障を定期的に点検する
すでに加入している商品の運用効率を定期的にチェックする習慣も欠かせません。「なんとなく続けている」商品ほど見直しの余地があります。あわせて、高額療養費制度のような公的な仕組みを理解したうえで、保障を必要最低限に絞り込むことも、貯蓄を効率化するポイントです。複数の保険を漫然と別々に契約するのではなく、組み合わせ全体で見直す視点を持ちましょう。
6.5 ポイント3:目的別に「色分け」して置き場所を決める
資産を育てる段階では、NISA・個人年金・変額保険といった複数の制度を目的別に色分けして積み立てる考え方が役立ちます。老後資金、教育資金、いざという時の備えなど、目的ごとに置き場所を分けておくと、資産全体の見通しが立てやすくなります。
まとまった資金の運用については、値動きの異なる資産を組み合わせる発想も欠かせません。株式と債券を組み合わせることで、相場の変動に振り回されにくい資産構成を作れます。分配金型の投資信託と積立型を組み合わせるなど、受け取り方にも複数の選択肢を持たせることで、将来のライフプランの変化にも対応しやすくなります。
預金と運用で資産額がどう変わるかについてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
【月3万円×20年】預金と新NISAの資産差はいくら?『利回り5%の積立投資 VS 金利0.3%の銀行預金』シミュレーションで徹底比較 インフレリスクを踏まえ、『複利効果』のインパクトを解き明かす
6.6 【試算】1000万円を20年間、預金のままにした場合と運用した場合
「貯める」から「育てる」へ移行するかどうかで、20年後にどれだけ差が出るのかを計算してみます。前提は「1000万円を追加の入金なしで20年間置いておく」というもので、税金・手数料は考慮していません。実際の運用成果は市場環境によって変動し、元本割れの可能性もあるため、あくまで一定の前提を置いた目安です。
- 金利0.3%の預金に置いた場合:約1062万円
- 年率3%で運用できた場合:約1806万円
- 年率5%で運用できた場合:約2653万円
同じ1000万円でも、置き場所によって20年後の金額は約1062万円から約2653万円まで開きます。1ページ目で試算した「平均年収600万円と460万円の年金差(20年で約614万円)」と比べても、置き場所の違いが生む差は小さくありません。もちろん運用にはリスクが伴いますので、すべてを動かすのではなく、使う時期が決まっていないお金から順に検討していくのが現実的です。
7. まとめにかえて
「平均年収600万円」と聞くと、日本の平均給与460万円を大きく上回る水準です。ただしこの460万円という数字は、年代・男女差・雇用形態の違いなども含めた平均に過ぎません。
ファイナンシャルプランを立てていると、つい自分の収入と比較して「周りに比べて自分は収入が低い」と焦ってしまう方をよく見かけます。ですが、大切なのは他人の年収と比較して一喜一憂することではなく、「自分の将来にはいくら必要なのか」を知ることです。
年収を上げるために転職や副業に挑戦するのも一つの道ですが、今の収入のなかで固定費を見直したり、新NISAなどで資産運用を始めたりするだけでも、将来の経済的な安心感は大きく変わります。
他人基準の「平均」ではなく、自分基準の「最適解」を見つけていきましょう。まずは、ご自身の年金受給額を一度チェックしてみてください。
参考資料
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
- 【月3万円×20年】預金と新NISAの資産差はいくら?『利回り5%の積立投資 VS 金利0.3%の銀行預金』シミュレーションで徹底比較 インフレリスクを踏まえ、『複利効果』のインパクトを解き明かす
中島 卓哉
