3. 年齢別の一覧表。60歳から90歳以上までいくらか

同じ概況には、受け取っている方を1歳刻みで分けた表があります。5歳ごとにまとめた形で並べます。

厚生年金・国民年金の平均年金月額(年齢別)1/2

厚生年金・国民年金の平均年金月額(年齢別)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金でいちばん人数が多いのは70歳代前半で、378万6954人。次が70歳代後半の354万3009人、60歳代後半の305万8399人と続きます。

額を見ると、60歳代前半だけが8万2267円で、ほかの年代から離れています。60歳代後半は15万1753円、70歳代前半は14万7730円。65歳以上はどの年代も14万円台から16万円台のあいだにおさまっています。

いちばん低いのは63歳の6万8758円、いちばん高いのは89歳の16万6767円。差は9万8009円ありました。

国民年金のほうも年齢別に出ています。こちらは60歳代前半の4万7138円から60歳代後半の6万1240円までの幅で、厚生年金ほど大きくは動きません。1階は納めた月数だけで決まるので、世代による差が出にくいためです。

なお、この一覧は令和6年度末に受け取っていた方の数字です。いま60歳の方が65歳になったときの額を示すものではありません。

離れているのは60歳代前半だけです。次の章で、その理由を確かめます。

4. 65歳より前が低いのは、受け取っているものが違うから

まず60歳代前半です。

厚生年金の60歳から64歳の77万159人を1歳ずつ見ると、60歳9万9664円、61歳10万4455円、62歳10万9323円と来て、63歳で6万8758円となり、64歳は8万3901円です。人数も63歳で3万1054人から18万1129人へ、64歳で52万927人へと急に増えます。

60歳から65歳まで。人数と平均年金月額の動き2/2

60歳から65歳まで。人数と平均年金月額の動き

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

理由は、受け取っているものの中身が違うことです。

日本年金機構によれば、男性で昭和36年4月1日以前、女性で昭和41年4月1日以前に生まれた方には「特別支給の老齢厚生年金」という受け取り方があります。昭和60年の法律改正で受給開始年齢を60歳から65歳へ引き上げるときに、段階的に移すために設けられたものです。生年月日に応じて、受給開始年齢が引き上げられてきました。

これで受け取れるのは2階の部分です。額が低く見えるのは、1階が乗っていないからです。

65歳になると1階が加わり、平均は14万9862円になります。64歳から6万5961円の増加となっています。

5. 年金支給日の10月15日の前に、手元で見ておきたいもの

10月15日が年金支給日となりますが、自身の年金額は年金振込通知書などで自身の支給額を確認し、自分がどの年齢の行に近いかをみてみるといいでしょう。なお、10月には税金や社会保険料が変わり、振込額が変わる方もいるので、年金振込通知書が届く方もいます。天引き後の金額で生活をすることになるので、10月に年金振込通知書が届いたら、6月に届いた通知書と見比べてみるといいでしょう。

振込通知書の金額は支給額と、保険料や税を引いたあとの振込額がのっています。比べる相手を間違えると、自分だけ少ないように見えてしまいますので注意してみましょう。

「特別支給の老齢厚生年金」を受け取っている方は、いま届いているのが2階だけかどうかをなどもみておくと見通しが立ちます。65歳になると1階が加わり、そのときに額が変わります。日本年金機構によれば、この方には65歳になる誕生月の初め頃(1日生まれの方は前月の初め頃)にはがき形式の年金請求書が届き、誕生月の末日までに出す必要があります。届出が遅れると年金の支払いが一時保留されることがあると、同機構は注意を促しています。

60歳代前半でまだ受け取っていない方は、繰上げを選ぶかどうかの判断がここに関わります。日本年金機構は、減額率が一生変わらないこと、繰上げ請求を取り消せないことなどを明記しています。減った額は生涯続きますし、注意点もあります。判断の前に注意事項なども確認するとよいでしょう。

6. 公的年金以外の備えも。元金融機関出身の筆者よりアドバイス

今回は、厚生労働省年金局の資料をもとに今のシニアの年金事情について詳しく見てきました。

資料によると、厚生年金(※基礎年金を含む)の平均受給額は月額15万289円、国民年金の平均受給額は月額5万9310円です。

年金は、現役時代の働き方や収入によって個人で受給額が異なります。

筆者が前社で営業をしていた頃も、自営業者のお客様は「年金が国民年金しか受け取れないから、今のうちにしっかりお金を貯めなきゃ」と話される方も少なくありませんでした。

また、国民年金と厚生年金の両方を受け取れる会社員や公務員であっても現役時代の収入があまり高い方ではなかったという場合は、上記であげた平均受給額を下回る年金額しか受け取れないということも十分あり得ます。

そのため、現役世代の方たちは今のうちからねんきんネットや年金定期便などで自身の将来の年金見込額を確認しておきましょう。

そして、年金だけで不足する老後資金を計算し、その不足額をNISAやiDeCo、貯蓄型保険などを活用して準備し安心して年金生活を迎えられる準備を始めましょう。

7. 監修者よりコメント

宮野 茉莉子
今回見てきたように、年齢によって平均額の違いがみられるもの。年齢だけでなく、男女で、そして個人で年金額の差は多いいものです。自身の年金見込み額はねんきんネットで、年金を受け取っている方は年金振込通知書で支給額と振込額を確認しましょう。

なかには繰下げ受給や繰上げ受給を検討される方もいるでしょう。どちらもメリット・デメリットや注意点があり、詳しく確認してから検討することをおすすめします。年金の受け取り方も個人差があり、正解は決まっていません。自身の正解を、ねんきんネットなどの資料も見ながら考えて見てくださいね。

参考資料

鶴田 綾