6. 【筆者アドバイス】年金生活者支援給付金を受け取るためにできること
今回は、年金生活を支える「年金生活者支援給付金」について、その仕組みや対象者、手続きの方法などを解説しました。ここでは、実際にご自身やご家族が対象になるかもしれないと感じた方に向けて、私からいくつかアドバイスをお伝えします。
まず大切なのは、日本年金機構から請求書やお知らせが届いていないか、一度確認してみることです。老齢・障害・遺族の3つの基礎年金に応じて支給要件が異なるため、対象かどうか分からない場合は、封書を「よく分からないから」と後回しにせず、まず開封して内容を確認することをおすすめします。
特に老齢年金生活者支援給付金は、ご自身の所得だけでなく世帯全員の住民税が非課税であることも条件です。同居しているご家族の状況によって結果が変わることもあるため、世帯全体で確認しておくと安心です。
これから年金を請求する方は、年金の請求手続きと給付金の請求手続きを同時に行うことを忘れないようにしてください。特に障害年金・遺族年金の対象者は、給付金の請求書が自動では送られてこないため、ご自身で申請する必要がある点に注意が必要です。
公的な制度は「知っているかどうか」で受け取れる金額が大きく変わります。ご自身やご家族が対象になっていないか、この機会に確認してみてください。
7. 【監修者コメント】"申請しないと手にできない"お金 ― 知っているかが手取りを分ける
7.1 平均は月4146円、対象は「所得」と「世帯」で決まる
私はアナリストとして、制度で「使える権利を取りこぼさないこと」も立派な家計防衛だと考えてきました。年金生活者支援給付金は、その典型です。厚生労働省の資料によれば、老齢年金の受給者への支援給付は平均で月4146円。対象となるのは、老齢年金の場合、前年の所得がおおむね80万9000円以下(生年によって基準は多少異なります)で、かつ世帯全員が住民税非課税、といった条件を満たす方です。
7.2 「申請主義」と「世帯単位」という二つの関門
ここで、二つ押さえておきたい点があります。一つは、この給付が"申請しないと受け取れない"制度だということです。月4146円は小さく見えるかもしれませんが、年にすればおよそ5万円、数年続けば数十万円になります。要件を満たしていても、みどり色のはがき(請求書)を出さなければ、そのお金は受け取れないまま消えてしまう。まさに「知っているかどうか」が手取りを分ける世界です。もう一つは、判定が「世帯単位」で行われる点です。老齢年金では世帯全員の住民税が非課税であることが条件で、自分だけの所得では決まりません。さらに、障害・遺族年金が対象の方には請求書が自動では届かないため、自ら動く必要があります。
7.3 まず「はがきと世帯の課税状況」を確認する
ですから、9月以降に届くお知らせや請求書には必ず目を通し、ご自身とご家族の住民税の状況もあわせて確認しておくことをおすすめします。老後の家計は、「もらえる年金」だけでなく「取りこぼさない給付」でも守れます。ただし、対象の判定や基準額は改正されることもありますので、ご自身が対象かどうかは、日本年金機構や年金事務所など公式の窓口で確認していただくのが確実です。
泉田良輔(CMA)
参考資料
中本 智恵
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)/元銀行員/金融ライター
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)保有。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて主にリテール営業に従事し、延べ1万名以上の個人のお金の相談に携わった。とくに銀行では国内外株式の仲介、国内外の債券、投資信託、生命保険、住宅ローンなどの販売に携わり、全国表彰歴あり。金融機関勤務後は経験を活かし、株式会社モニクル傘下の株式会社モニクルリサーチ(旧:株式会社ナビゲータープラットフォーム)に入社。
現在はくらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部にて、厚生労働省管轄の厚生年金保険と国民年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)、年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、資産運用、NISA、iDeCo、住宅ローン、カードローン、為替相場、株式投資などを中心に記事の企画・執筆・編集・監修をおこなっている。Yahoo!ニュース経済カテゴリでアクセスランキング1位を多数達成。(2026年7月29日更新)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日