4. 手取り収入からの貯蓄割合はどれくらい?

貯蓄を増やすうえで意識したいのが、手取り収入に対する貯蓄割合です。J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施する「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯)2025年」を確認しましょう。

金融資産を保有している二人以上世帯のうち、年間手取り収入からさらに金融資産へ振り分けた世帯は38.4%で、振り分けなかった世帯が61.6%にのぼりました。 また、実際に振り分けた世帯の平均割合は、手取り収入の約35%でした。

4.1 振り分けた世帯の平均割合は約35%

金融資産に振り分けた世帯では、年間手取り収入の約35%を貯蓄に回していました。内訳は預貯金が約17%、債券・投資信託・株式が約14%です。預貯金だけに偏らない資産配分が二人以上世帯に広がっています。

4.2 先取り貯蓄で仕組み化する

貯蓄割合を上げるには、給与振込口座から自動で別口座に移す「先取り貯蓄」が有効です。金融機関の自動積立定期預金や、勤務先の財形貯蓄制度を使えば、意志の力に頼らず継続できます。

新NISAのつみたて投資枠やiDeCoも、長期の資産形成に活用できる制度です。金融庁のNISA特設ウェブサイトや、国民年金基金連合会のiDeCo公式サイトで制度の詳細を確認できます。

年間投資枠の拡大4/9

年間投資枠の拡大

出所:金融庁「NISA特設ウェブサイト」

苛原 寛

手取りの約35%を貯蓄に回している世帯がある一方、金融資産をすでに持っている世帯のうち6割以上の世帯は特に振り分けていないという結果です。無理に高い割合を目指す必要はありませんが、まずは「先取り貯蓄」で少額からでも仕組み化することが、継続のコツだと感じます。

5. 元銀行員の視点から:貯蓄額の推移を、取り崩しペースまで含めて考える

今回のデータで印象的なのは、60歳代の平均貯蓄2843万円が全年代のピークで、70歳以上になると2471万円まで減っている点です。これは、退職後に年金だけでは生活費を賄いきれず、月4万円強のペースで貯蓄を取り崩している世帯が多いことを示しています。

銀行の窓口でも、「貯蓄額そのもの」は気にしていても、「毎月どれくらいのペースで取り崩すことになるか」まで具体的にイメージできている方は多くありませんでした。60歳代でいくら貯蓄があるかだけでなく、70歳・80歳と歳を重ねたときにどのくらいのペースで減っていくのかを、早めに試算しておくことをおすすめします。

中本 智恵

先取り貯蓄やNISA・iDeCoを活用して現役時代に資産を積み上げることと同じくらい、退職後の取り崩し方を計画しておくことも、老後の安心には欠かせない視点です。

6. 年代別の平均を参考に家計を見直そう!

2025年の家計調査では、二人以上世帯の平均貯蓄は2059万円、中央値は1264万円でした。平均値は40歳代1381万円、50歳代1756万円、60歳代2843万円、70歳以上2471万円と、年代ごとに大きな幅があります。

平均に届いていなくても焦る必要はありません。中央値との比較や、手取り収入からの貯蓄割合を軸に、ご自身の家計を点検してください。

先取り貯蓄で毎月の積み立てを仕組み化し、新NISAやiDeCoで税制優遇を活用すると、長期の資産形成が進めやすくなります。今日から一歩ずつ、老後に向けた準備を始めてみてください。

7. 今読まれているおすすめ記事5選

7.1 給付付き税額控除とは?本格導入は2029年度へ。対象者・給付の考え方・つなぎ措置を整理

5/9

給付付き税額控除とは?本格導入は2029年度へ。対象者・給付の考え方・つなぎ措置を整理

給付付き税額控除とは?本格導入は2029年度へ。対象者・給付の考え方・つなぎ措置を整理

給付付き税額控除は、中低所得の現役勤労者を主な対象として、所得に応じた支援を行う仕組みとして検討されています。本格導入は令和11年度が目標とされており、具体的な内容は今後の制度設計で詰められる予定です。

7.2 「手続きが面倒そうで……」と思ったまま損している人へ。年金生活者支援給付金の申請は、はがきにサインしてポストに入れるだけ

6/9

「手続きが面倒そうで……」と思ったまま損している人へ。年金生活者支援給付金の申請は、はがきにサインしてポストに入れるだけ

「手続きが面倒そうで……」と思ったまま損している人へ。年金生活者支援給付金の申請は、はがきにサインしてポストに入れるだけ

年金生活者支援給付金の手続きやよくある疑問について、詳しくお伝えします。

7.3 【高齢者向け給付金】年金・雇用保険関連の給付金や手当を解説!「65歳で年金を受け取り始めるAさん」と、「60代前半で働き方に迷うBさん」。2人のモデルケースをもとに、具体的にいくら差がつくのか見る

7/9

【高齢者向け給付金】年金・雇用保険関連の給付金や手当を解説!「65歳で年金を受け取り始めるAさん」と、「60代前半で働き方に迷うBさん」。2人のモデルケースをもとに、具体的にいくら差がつくのか見る

【高齢者向け給付金】年金・雇用保険関連の給付金や手当を解説!「65歳で年金を受け取り始めるAさん」と、「60代前半で働き方に迷うBさん」。2人のモデルケースをもとに、具体的にいくら差がつくのか見る

60歳・65歳以上の方が対象となる、年金以外にもらえる公的給付金を5つ紹介。年金生活者支援給付金や加給年金、雇用保険関連の手当など、シニア世代のお金の制度をわかりやすく解説します。

7.4 【生活保護】なぜ生活保護率は都道府県で差が出る?高い地域・低い地域に共通する特徴とは。元銀行員の視点から背景を読み解く

8/9

【生活保護】なぜ生活保護率は都道府県で差が出る?高い地域・低い地域に共通する特徴とは。元銀行員の視点から背景を読み解く

【生活保護】なぜ生活保護率は都道府県で差が出る?高い地域・低い地域に共通する特徴とは。元銀行員の視点から背景を読み解く

生活保護率が高い・低い都道府県のほか、生活保護率が高くなる要因についても解説します。「1人当たり県民所得」や「離婚率」との関連についてもチェックするため、ぜひ参考にしてください。

7.5 【独自試算】50歳からの新NISA。毎月5万円・7万円では10年後いくらになる?利回り別シミュレーション

9/9

【独自試算】50歳からの新NISA。毎月5万円・7万円では10年後いくらになる?利回り別シミュレーション

【独自試算】50歳からの新NISA。毎月5万円・7万円では10年後いくらになる?利回り別シミュレーション

本記事では、新NISAの基本やメリットをわかりやすくおさらいした上で、具体的な数値シミュレーションを交えながら、将来の資産形成のロードマップを解説します。

参考資料

苛原 寛