6. まとめにかえて

60歳代の金融資産保有額は、単身で平均1364万円(中央値300万円)、二人以上で平均2683万円(中央値1400万円)でした。2000万円以上を保有する割合は単身で21.1%、二人以上で39.6%にとどまり、世帯によって大きな差があります。

受給時期は損益分岐点で機械的に決めるより、自分の人生設計に合わせて選ぶのが賢明です。年金を「保険」と捉え直すことで、納得のいくタイミングが見えてきます。

7. 【監修者のコメント】この記事の総括とこれからの実務上の注意点

齊藤 慧

年金の繰下げ受給による『損益分岐点』を気にされる方は多くいるでしょう。何歳まで生きれば得をするのか、という計算は確かにひとつの目安になります。

しかし、人の寿命は誰にも予測できません。そのため、損得勘定だけで受給開始時期を決めるのは避けるべきです。

また、本記事のデータが示す通り、60代の貯蓄状況は世帯ごとに大きなばらつきがあります。平均額に届いていないからと焦り、無理に年金を繰り下げて日々の生活費を圧迫してしまっては本末転倒です。

受給時期の判断において優先すべきは、手元の貯蓄と現在の生活費のバランスです。日々のキャッシュフローに無理がないかを客観的に確認し、ご自身の健康状態や就労状況に合わせたタイミングを選択することが、老後の安心を支える確実な防衛策となります。

参考資料

柴田 充輝