4. シミュレーション:1年前から毎月10万円を積立投資した場合の評価額

次に、2025年6月から2026年5月までの1年間、毎月末に10万円ずつ積立投資を続けた場合のシミュレーションをおこないます。

投資元本の合計は、一括投資と同じ120万円です。

この金額は、新NISAのつみたて投資枠における年間上限額とも一致します。

この試算は、各月末の基準価額に基づいて毎月の購入口数を計算し、それを現在の基準価額で評価した概算値となります。

4.1 オルカンに積立投資した場合

  • 総投資額: 120万円(10万円 × 12カ月)
  • 現在の評価額(税引前): 約142万1000円
  • 評価益(概算): 約+22万1000円(+18.4%)

4.2 S&P500に積立投資した場合

  • 総投資額: 120万円(10万円 × 12カ月)
  • 現在の評価額(税引前): 約140万5000円
  • 評価益(概算): 約+20万5000円(+17.1%)

積立投資では、価格が下落したタイミング(例えば2026年3月)でより多くの口数を安価に購入できる、いわゆるドル・コスト平均法の効果が期待できます。

今回のシミュレーション期間ではオルカンがわずかに優勢でしたが、両者の差額は1万5000円程度と、ごくわずかなものでした。

同じ120万円を投資した場合でも、一括投資と積立投資とでは、最終的な評価額に約30万円もの差が生まれています。

この差が生じた最も大きな要因は、「投資資金が市場で運用されていた期間」の違いです。

一括投資では、最初に120万円全額を市場に投じるため、1年間の運用期間を通じて上昇相場の恩恵を最大限に享受できました。

それに対して積立投資は、毎月10万円ずつ段階的に投資するため、投資されずに待機している資金が存在します。

今回のような上昇が続いた相場では、資金全体の運用効率が低くなるため、一括投資と比較して資産が増えるペースは緩やかになります。

しかし、これはあくまで相場が右肩上がりで好調だった場合のシナリオです。

仮にこの1年間が下落相場であったなら、結果は全く逆になっていたでしょう。

一括投資は120万円全体が下落の影響を直接受けて大きな損失を出す可能性があります。

一方で積立投資は、まだ投資していない資金が保全されるうえ、価格が下がった局面で安く買い増しができるため、一括投資に比べて損失を大きく軽減できる可能性があります。

5. まとめ:リスク許容度や、保有している資産全体のバランスを考慮した資産形成を

2026年5月末時点のデータに基づくと、直近1年および6カ月のパフォーマンスではオルカンが、直近3カ月および1カ月のパフォーマンスではS&P500が、それぞれわずかに上回る結果となりました。

一括投資と積立投資、いずれのシミュレーションにおいても、両ファンドの成績の差は非常に小さいものでした。

組み入れ上位銘柄の構成が似ていることからもわかるように、オルカンは全世界に分散投資をおこないつつも、実質的にはアメリカへの投資比率が高いファンドです。

このため、S&P500と値動きが連動する場面も少なくありません。

両者の決定的な違いは、「アメリカ以外の国や地域へ分散投資しているかどうか」という点にあります。

オルカンは新興国やヨーロッパ諸国の株式も投資対象に含んでいるため、市場の状況によってはS&P500とは異なる値動きを示すことがあります。

どちらのファンドが絶対的に優れているということではなく、ご自身の投資方針として「アメリカ市場への集中度をどの程度許容するか」が、選択の重要な判断基準となるでしょう。

いずれのファンドも、長期的な視点での積立・分散投資に適した商品設計となっています。

短期的な価格の変動に惑わされることなく、ご自身の投資目標やリスク許容度を踏まえて、じっくりと検討してみてはいかがでしょうか。

【投資に関するご注意】本記事は、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資には元本を割り込むリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任において行われるようお願いいたします。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

安達 さやか