夏の訪れとともに、光熱費などが気になり始め、家計の負担を少しでも減らしたいと感じる時期かもしれません。

私はこれまで生命保険会社やIFAとして多くの方の資産形成をサポートしてまいりましたが、安心できる生活設計には「保障と投資のバランス」を整えることが大切だとお伝えしています。

特に老後の家計においては、国が用意している公的な「保障(支援制度)」をしっかりと活用することが、暮らしの土台を守る第一歩となります。

実は、年金を受給している世帯の生活をサポートする「年金生活者支援給付金」という制度があります。

これは一時的な給付金とは異なり、年金に上乗せされる形で2カ月に一度、定期的に受け取れるものですが、詳しく知らない方も少なくありません。

本記事では「年金生活者支援給付金」の対象者や給付額、重要な手続きについてわかりやすく解説します。

次回の年金支給日は8月14日ですが、対象となる方は年金に上乗せして、この給付金をいくら受け取れるのでしょうか。

安達 さやか

本記事は、編集部が厚生労働省や日本年金機構が公表する「令和8年度(2026年度)の年金生活者支援給付金」に関する公式資料を確認の上、執筆・監修しています。

1. 年金に上乗せでもらえる「年金生活者支援給付金」の概要

「年金生活者支援給付金」ってどんな制度?1/9

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

「年金生活者支援給付金」とは、公的年金などの収入を合わせても所得が一定基準に満たない世帯を支援するための給付金です。

この給付金は、年金の支給日と同じタイミングで、2カ月に1回、年金に上乗せされて支給されます。

「住民税非課税世帯への給付金」といった一時的な支援策とは違い、支給要件を満たす限り継続的に受給できる恒久的な制度という点が特徴です。

年金生活者支援給付金は、以下の3種類に分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

次の章で、それぞれの給付金を受け取れる方の条件を詳しく見ていきましょう。

2. 年金生活者支援給付金の支給対象者は?3つの種類別に要件を解説

ここからは、3種類ある年金生活者支援給付金について、それぞれの支給要件を解説します。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の対象となる3つの要件

以下の要件をすべて満たす方が対象です。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入額と、その他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は90万6700円以下であること(※1、※2)

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、ここでの収入額には含まれません。

※2 昭和31年4月2日以降生まれの方で所得合計が80万9000円超90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方で所得合計が80万6700円超90万6700円以下の場合、「補足的老齢年金生活者支援給付金」(※3)が支給対象となります。

※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」の仕組み

老齢年金生活者支援給付金は、所得が一定額以下の方を対象としています。

しかし、所得が基準額をわずかに超えたために給付を受けられず、結果として基準額ぎりぎりの受給者よりも総所得が少なくなってしまうケースがありました。

このような不公平感をなくすために設けられたのが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。

この仕組みにより、所得が基準額を上回っても一定の範囲内であれば給付を受けられ、所得の増加に応じて給付額が緩やかに減少するよう調整されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金の対象となる2つの要件

障害年金生活者支援給付金3/9

障害年金生活者支援給付金

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金について」

以下の要件をすべて満たす方が対象です。

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が479万4000円以下であること(扶養親族の人数によって基準額は変わります)

※障害年金などの非課税収入は所得に含まれません。

2.3 遺族年金生活者支援給付金の対象となる2つの要件

遺族年金生活者支援給付金4/9

遺族年金生活者支援給付金

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金について」

以下の要件をすべて満たす方が対象です。

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が479万4000円以下であること(扶養親族の人数によって基準額は変わります)

※遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。

いずれの給付金も、記載されたすべての要件を満たした場合に支給されます。

次の章では、年金生活者支援給付金の具体的な給付額について確認します。

3. 2026年度の年金生活者支援給付金、支給額はいくらになる?

2026年度の年金生活者支援給付金は、前年の物価変動を反映して、給付額が+3.2%増額されました。

各給付金の支給額は以下の通りです。

年金生活者支援給付金の給付額5/9

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

ただし、老齢年金生活者支援給付金の実際の支給額は、この基準額をベースに、個人の保険料納付状況によって計算されます。

そのため、保険料を納めた期間や免除された期間によって、受け取れる金額は一人ひとり異なります。

具体的な給付額の目安を、保険料の納付期間別に見ていきましょう。

3.1 早見表で見る老齢年金生活者支援給付金の給付額目安(保険料納付状況別)

先述の通り、老齢年金生活者支援給付金の額は、基準額を基に保険料の納付済期間や免除期間を考慮して決まります。

ここでは、保険料の納付済期間と全額免除期間に応じた月額給付額の目安をご紹介します。

  • 納付済期間240カ月・全額免除期間0カ月:給付額(月額)2810円
  • 納付済期間240カ月・全額免除期間60カ月:給付額(月額)4281円
  • 納付済期間240カ月・全額免除期間240カ月:給付額(月額)8694円
  • 納付済期間360カ月・全額免除期間120カ月:給付額(月額)7157円
  • 納付済期間280カ月・全額免除期間200カ月:給付額(月額)8181円
  • 納付済期間200カ月・全額免除期間280カ月:給付額(月額)9207円

これらの金額は目安ですが、同じ納付済期間でも、残りの期間が未納であるか、免除申請がされているかによって、給付額が大きく変わることが分かります。

4. 年金生活者支援給付金は申請が必要!手続きの方法を解説

年金生活者支援給付金は、自動的に支給されるものではなく、ご自身での申請手続きが必須です。

支給対象となる方には日本年金機構から請求書が届きますが、これを提出しない限り給付は受けられませんのでご注意ください。

届く書類は年金の受給状況によって変わります。

ここでは、「これから年金を受け取り始める方」と「すでに年金を受給中の方」の2つのパターンに分けて解説します。

※老齢基礎年金を繰上げ受給している方には、ここで紹介するものとは別の様式の書類が届きます。

4.1 ケース1:これから老齢年金の受給を始める方の申請手続き

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ6/9

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

これから老齢年金の受給を始める方には、65歳になる3カ月前に「年金請求書(事前送付用)」が送られてきます。

その際に「年金生活者支援給付金請求書」も同封されています。

書類に必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所に提出してください。

4.2 ケース2:すでに年金を受給中の方の申請手続き

すでに基礎年金を受給している方で、新たに給付金の対象となった場合には、9月頃から順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)8/9

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出所:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきに必要事項を記入し、付属の目隠しシールを貼ってください。

差出人欄にご自身の住所と氏名を書き、切手を貼って投函します。

※支給要件に該当するかどうか確認が必要な方には、A4サイズの請求書と所得状況届が送付される場合があります。

4.3 補足:老齢基礎年金を繰上げ受給している方の申請手続き

65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方9/9

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

補足情報として、老齢基礎年金を繰上げ受給している方についても説明します。

給付金の受給資格が見込まれる方には、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの場合は前月初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届きます。

手続きは、はがきに必要事項を記入し、目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記載して切手を貼って投函する流れです。

※こちらも、支給要件の確認が必要な方にはA4サイズの請求書と所得状況届が送付されることがあります。

一度申請を済ませれば、支給要件を満たし続ける限り、翌年以降の手続きは原則として不要になります。

もし所得が増えるなどして要件から外れた場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、支給が停止されます。

2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた方は、電子申請も利用できます。

電子申請を行った場合、郵送での提出は不要です。

5. まとめ:年金生活者支援給付金やその他の支援制度も活用を

今回解説した「年金生活者支援給付金」は、一時的なものではなく、継続的な支援を受けられる制度です。

最も重要なポイントは、この給付金が「申請主義」であるという点です。

受け取る権利があったとしても、ご自身で手続きをしなければ、給付金が支給されることはありません。

日本年金機構から関連する封筒やはがきが届いた際には、後回しにせず、速やかに内容を確認して手続きを進めるようにしましょう。

また、この給付金以外にも、さまざまな公的支援制度が存在します。

今回の給付金の対象外となった方でも、お住まいの自治体が独自に設けている支援制度を利用できる可能性があります。

「自分は対象外だろう」と決めつけずに、一度お住まいの市区町村の窓口などで情報を確認してみてはいかがでしょうか。

少しの手間をかけることで、日々の暮らしに安心感をプラスできるかもしれません。

※当記事は再編集記事です。

参考資料