2. 3割負担でも「青天井」ではない:高額療養費制度

では、3割負担に当てはまる場合、医療費はどこまでもかかり続けてしまうのでしょうか。実は、そうではありません。

医療機関の窓口で支払った1カ月の自己負担額が所得区分ごとの上限を超えると、超えた分が「高額療養費」として払い戻されます。3割負担であっても、この上限額が負担の歯止めになります。

上限額は所得区分によって異なります。

例えば、2割負担(一定以上の所得がある方)では、外来のみの自己負担額に月額1万8000円(年間上限14万4000円)の特例があります。一方、3割負担となる現役並み所得者は、より高い上限額が設定されており、例えば現役並みⅠ(課税所得145万円以上)では、世帯ごとの上限額は8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%となります。

3. 2026年8月から高額療養費制度が段階的に見直し

高額療養費の上限額は、2026年(令和8年)8月から段階的に見直されることが決まっています(2026年5月に関連する法律が成立)。大きなポイントは2つです。

3.1 1カ月の上限額が変わる

「1カ月の自己負担の上限額」が、所得に応じて段階的に引き上げられます。上限が上がるということは、これまでより自己負担が少し増える方向の見直しです。

たとえば、75歳以上の方の通院(外来)の月の上限について、厚生労働省が示している案では、次のような引き上げが検討されています。

  • 2割負担(一定以上の所得がある方):現在の1万8000円 → 2026年8月に2万2000円。さらに、年収約200万円超の区分では2027年8月に2万8000円へ引き上げ。一方、年収約200万円以下の区分は2027年8月も2万2000円に据え置き。
  • 住民税非課税の方:現在の8000円 → 2026年8月に1万1000円、2027年8月に1万3000円。
  • 住民税非課税で所得が特に低い方:8000円のまま据え置き。

3.2 「1年間の上限」が新たに設けられる

高額療養費の年間上限の新設3/4

高額療養費の年間上限の新設

出所:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

長く治療が続く場合に備えて、「1年間の自己負担の上限」が新たに設けられます。毎月の上限まで負担が続いても、その年の負担が一定額で止まる、新しいセーフティネットといえます。