2026年8月14日、年金の支給日を迎えます(8月15日が土曜のため前倒し)。令和8年度の老齢年金生活者支援給付金の月額基準額は5620円となり、令和7年度の5450円から増額されました。
年金で生活をされている方にとっては、日々のやりくりに頭を悩ませることも少なくないのではないでしょうか。
そんな中、公的年金に加えて受け取れる可能性がある「年金生活者支援給付金」という制度をご存じでしょうか。
この制度は、所得が一定の基準を下回る年金受給者の生活を支えるために設けられたものです。
この記事では、どのような方がこの給付金の対象となるのか、具体的にいくら受け取れるのか、そしてどのような手続きが必要なのかを、一つひとつ丁寧に解説していきます。
ご自身やご家族が対象になるかを確認し、日々の暮らしの安心につなげるための一助となれば幸いです。
なお、年金生活者支援給付金の支給要件・手続き方法に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」とは?
年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される給付金で、以下の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
「老齢・障害・遺族」、それぞれの基礎年金を受給中の人が、公的年金を含めても所得が一定基準以下となる場合に、2カ月に一度、受け取ることができるものです。
1.1 【シミュレーション】老齢年金生活者支援給付金を10年間受け取り続けると総額いくら?
令和8年度の老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5,620円ですが、「たった5,620円」と感じる方もいるかもしれません。
そこで、この基準額を10年間受け取り続けた場合の総額を試算してみましょう。
- 月額基準額:5,620円
- 受給期間:10年間(120カ月)
- 受け取れる総額:5,620円×120カ月=67万4400円
2カ月に一度、まとまった金額として振り込まれるため、単月だけを見ると少額に感じられますが、10年間続けば約67万円という無視できない金額になります。給付基準額は毎年度見直されるため、実際の受給総額はこれより増減する可能性がありますが、「申請しなければ受け取れないお金」としては決して小さくない規模といえるでしょう。
2. 【種類別】年金生活者支援給付金の支給要件を解説
基礎年金を受給している人のうち、年金等の収入や所得の合計額が一定基準以下となる場合、「年金生活者支援給付金」がもらえる可能性があるとわかりました。
本章では「年金生活者支援給付金」の具体的な支給要件について、3種類にわけて見ていきましょう。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の対象となる方
まず老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
【シミュレーション】基準額をわずかに超えた場合、「補足的」給付金はいくらになる?
先述のとおり、所得基準(80万9000円)をわずかに超えてしまった場合でも、90万9000円までであれば「補足的老齢年金生活者支援給付金」として、減額されたかたちで受け取れます。
補足的老齢年金生活者支援給付金の月額は、次の計算式で求められます。
- 補足的給付金額=給付基準額(5,620円)×(90万9000円-年金収入等の合計額)÷(90万9000円-80万9000円)
例えば、年金収入とその他の所得の合計額が85万円だった場合を試算してみましょう。
- 補足的給付金額=5,620円×(90万9000円-85万円)÷10万円=5,620円×0.59=約3,316円
このように、所得基準を超えた分だけ給付額が段階的に減っていく仕組みになっているため、「基準を1円でも超えたら給付金がゼロになる」わけではありません。ご自身の年金収入等の合計額が基準に近い場合は、あきらめずに一度試算してみることをおすすめします。
2.2 障害年金生活者支援給付金の対象となる方
下記の支給要件をすべて満たす場合、障害年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
2.3 遺族年金生活者支援給付金の対象となる方
下記の支給要件をすべて満たす場合、遺族年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
3. 年金生活者支援給付金の平均支給月額は?最新データで確認
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、実際に支給された年金生活者支援給付金の平均月額を見ていきましょう。
2025年3月時点の平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円でした。
※2025年3月において認定されている平均給付金額です。
年齢別の平均額も深堀りしていきます。
3.1 年齢で見る老齢年金生活者支援給付金の平均額
- 70歳未満:4905円(43万9628件)
- 70~74歳:4374円(56万1362件)
- 75~79歳:4092円(85万9446件)
- 80~84歳:3936円(95万453件)
- 85~89歳:3989円(82万8270件)
- 90歳以上:4045円(86万5282件)
3.2 年齢で見る障害年金生活者支援給付金の平均額
- 30歳未満:5692円(26万6276件)
- 30~39歳:5668円(31万6202件)
- 40~49歳:5655円(37万1772件)
- 50~59歳:5671円(46万8876件)
- 60~69歳:5749円(38万4626件)
- 70~79歳:5880円(26万4423件)
- 80歳以上:6033円(10万4991件)
3.3 年齢で見る遺族年金生活者支援給付金の平均額
- 20歳未満:4190円(5687件)
- 20~29歳:5310円(529件)
- 30~39歳:5310円(7881件)
- 40~49歳:5310円(3万4072件)
- 50~59歳:5310円(2万7828件)
- 60歳以上:5310円(1710件)
4. 忘れずに申請を!年金生活者支援給付金の手続き方法
「年金生活者支援給付金」は勝手に受け取れるわけではありません。申請が必須となっているので手続き漏れがないように注意しましょう。
ここでは、該当する人が多い2つのパターンにわけて、請求手続きの方法を見ていきます。
4.1 すでに年金を受給中の方が新たに対象となったケース
- 毎年9月の第1営業日から、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。受け取った方は必要事項を記入し、切手を貼って郵便ポストに投函します。
- 締切日までに提出すると10月分まで遡って受け取れますが、それ以降になると、請求した月の翌月分からの支給となります。早めの手続きを心がけましょう。
※「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた人は、電子申請による提出も可能です。電子申請を行った場合、郵送での提出は不要です。
4.2 これから年金受給が始まる方が対象となったケース
- 受給権が発生する3カ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」が送付されます。こちらに「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と一緒に年金事務所へ提出します。
4.3 手続きは初回のみ?翌年以降の申請について
毎年手続きが発生するの?と思う方もいますが、一度請求書を提出すれば、支給要件を満たす限り翌年以降の手続きは原則不要です。
※年金生活者支援給付金は、毎年度、前年の所得情報等に基づき、継続支給の判定が行われます。継続支給の判定結果は、毎年10月分(支払いは12月)から1年間反映されます。
5. 公的年金の受給額には大きな個人差がある
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)が5万9310円、厚生年金(国民年金部分も含む)が15万289円です。
ただし、年金受給額には個人差が大きいという点に注意が必要です。
特に厚生年金ではその差が顕著です。
「厚生年金に加入している人は年金がたくさんもらえる」と思う人もいますが、実際には月額30万円以上受け取っている人もいれば月額1万円未満となる人まで、幅広い受給額ゾーンにちらばっています。
年金とその他の所得を含めても一定基準以下の所得となる場合、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があるでしょう。











