物価高が続く現在、これからの生活設計や将来に向けた資産づくりについて、改めて見つめ直す方が増えています。

そうした中で関心を集めているのが、新NISAを活用した資産形成の仕組みです。

中本 智恵
銀行員時代、窓口では「新NISAは気になっているけれど、仕組みがよく分からない」というご相談を数多くいただきました。まずは制度の基本と、具体的な試算を確認していきましょう。

投資から得られる利益が非課税になる新NISAは、中長期的な資産形成において非常に有利な制度です。しかし、その特徴や具体的なメリットを正しく把握していなければ、制度の恩恵をフルに引き出すことはできません。

さらに、積立金額や想定される運用利回り、継続する期間によって、将来得られる資産額には大きな差が生じます。

この記事では、新NISAの基本的な仕組みを振り返るとともに、具体的なシミュレーションを通して、将来の資産形成のイメージをわかりやすくお伝えします。

※本記事で行うシミュレーションにおいて、累計の投資総額がNISAの生涯非課税保有限度額(総枠1800万円)を超える場合、その超過分については課税対象(課税口座での運用)となりますのであらかじめご留意ください。

1. この記事の3つのポイント

  •  新NISAは運用益が非課税になり、非課税保有期間も無期限
  •  40歳から65歳まで毎月5万円を積み立てた場合、利回り次第で資産額は1700万円〜2929万円に
  •  積立期間を長く取るほど、毎月の負担を抑えながら目標金額に到達しやすくなる

2. 新NISAの最大の強み「非課税メリット」を押さえよう

資産形成をサポートする目的で2014年に導入されたNISA(ニーサ)は、2024年の制度改正を経て「新NISA」へと生まれ変わりました。

新NISAの最も大きなメリットは、投資運用で得た利益に対して税金がかからない点にあります。

通常、投資の売却益や配当金には約20%の税金が課されますが、NISA口座内での運用であればこの税金が免除され、利益を丸ごと受け取ることが可能です。

新NISA「非課税」のしくみ1/5

新NISA「非課税」のしくみ

出所:金融庁「NISAを知る」

ただし、投資できる金額や対象商品には一定のルールがあるため、あらかじめ制度の内容を理解しておくことが重要です。

2.1 「新NISA」で押さえておきたい6つの特徴

「新NISA」の主なポイントは以下の6点です。

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴2/5

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

  1. 非課税保有期間は無期限
  2. 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
  3. 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
  4. 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
  5. つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
  6. 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」

「投資」と聞くとまとまったお金が必要なイメージを持たれがちですが、現在では月々500円や1000円といった少額から始められる商品も多数存在します。

NISAを利用すれば、投資信託や株式への投資に少額から挑戦できるため、投資初心者の方にも非常に適した制度と言えるでしょう。

次章では、毎月の積立を続けた場合に、将来どの程度の資産が形成できるのかをシミュレーションしていきます。

同じ資金を銀行の定期預金に預けた場合との差が気になる方は、こちらの記事もご参考ください。
【月3万円×20年】預金と新NISAの資産差はいくら?「利回り5%の積立投資 VS 金利0.3%の銀行預金」シミュレーションで徹底比較 インフレリスクを踏まえ、「複利効果」のインパクトを解き明かす

中本 智恵
非課税保有期間が無期限になったことで、老後も含めた長期的な資産形成の計画が立てやすくなりました。ご自身のライフプランに合わせて、つみたて投資枠と成長投資枠をどう使い分けるか考えてみるとよいでしょう。

3. 【利回り別】40歳から65歳「毎月5万円」で積立投資を行った場合

ここでは、以下の前提条件をもとに、NISAを利用して積立投資を行った場合、どの程度の資産形成が期待できるのかを確認します。

  • 40歳から65歳までの25年間で老後資金をつくる
  • 積立額は毎月5万円
  • 投資信託は「安定的な運用」を重視した1~5%の商品

3.1 【試算結果を見る】「毎月5万円」×25年×「年1〜5%」で積立投資

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果3/5

【新NISA】運用利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

想定利回り:資産評価額(元本部分は1500万円)

  • 年1%:1702万円
  • 年2%:1939万円
  • 年3%:2217万円
  • 年4%:2544万円
  • 年5%:2929万円

25年間にわたって毎月5万円を積み立てた場合、最終的には1700万円を超える資産形成が見込まれます。

元本は合計1500万円ですが、運用状況によっては約202万円〜最大1429万円ほどの利益が加わる可能性があります。

ただし、投資にはリスクが伴い、期待リターンが高くなるほどリスクも大きくなるため、その点を理解したうえで活用することが重要です。

中本 智恵
同じ毎月5万円でも、利回りによって最終的な資産額は1000万円以上変わってきます。想定利回りはあくまで一例なので、複数のシナリオで試算しておくことをおすすめします。

4. 【積立額別】25年間で「2000万円」を目指す場合

老後に必要な資金は家庭ごとに異なりますが、ここでは2000万円を目標としたケースを想定します。

40歳から65歳までの25年間でこの金額を準備するには、毎月どの程度の積立が必要になるのかを試算します。

4.1 【試算結果を見る】「25年間」×5%で積立投資

【新NISA】積立金額別「想定利回り5%」積立投資シミュレーション結果4/5

【新NISA】積立金額別「運用利回り5%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

毎月の積立金額:資産評価額

  • 3万円:1757万円
  • 4万円:2343万円
  • 5万円:2929万円
  • 6万円:3514万円
  • 7万円:4100万円

※想定利回り:年5%

試算の結果、年利5%で25年間運用した場合、毎月4万円を積み立てることで2000万円を超える資産形成が可能となります。

ただし、毎月の積立は家計の負担になる場合もあり、また利回りも確実ではないため、想定通りに資産が増えない可能性がある点には注意が必要です。

そのため、老後資金の準備はできるだけ早い段階から始めることが重要です。

たとえば、目標金額の2000万円を目指すにあたり、35歳から65歳までの30年間、同じく年利5%で積立を行った場合、毎月の積立額は約2.5万円で目標を達成できます。

このように、積立期間を長く確保することで、毎月の負担を軽減しながら効率的に資産形成を進めることができます。

中本 智恵
目標金額から逆算して積立額を考える視点は、窓口でのご相談でもよくお伝えしていました。無理な金額を設定するより、期間を長く取れないか検討する方が、結果的に続けやすいことが多いです。

5. 【ステップアップ投資】ライフスタイルの変化に合わせて積立額を見直す

最初は無理のない少額からスタートし、家計にゆとりが生まれたら投資額を増やしていきたいと考える方も少なくないでしょう。

そうした場合には、収入のアップや支出の見直しに合わせて、少しずつ積立額を引き上げていくアプローチが効果的です。

たとえば、毎月5万円を25年間積み立てた場合、元本は合計1500万円となります。

さらに、年利3%で運用した場合、最終的な資産は約2217万円となり、元本の約1.5倍に成長する試算です。

この手法は、最初から無理をせずに長続きさせやすい点が大きなメリットです。スタート時は家計の負担を軽くしておき、収入が増加したタイミングで投資額を増やすことで、日々の生活を圧迫せずに効率的な資産づくりが可能となります。

長期的な投資において最も大切なのは「途中でやめずに続けること」です。

まずは少額から始め、余裕が出てきたら積立額を見直すことで、現実的かつ着実に資産を増やしていきましょう。

中本 智恵
収入の変化に合わせて積立額を見直す柔軟性は、長く続けるうえで非常に大切な視点です。ボーナス時期だけ増額するなど、無理のない範囲で調整してみてください。