本格的な梅雨、そして夏本番を控えるこの時期。エアコン代などの光熱費や日用品の値上がりが続き、日々のやり繰りに負担を感じているシニア世代の方は多いのではないでしょうか。

そんなインフレ時代を乗り切るために、ぜひ確認しておきたいのが、公的年金に上乗せして受け取れる「年金生活者支援給付金」です。

次回の年金支給日である「8月14日(金)」に向けて、ご自身が給付金の対象になるか、いくら受け取れるのかを事前に把握しておくことは、生活防衛の重要な一歩となります。

本記事では、物価高対策として活用したい「年金生活者支援給付金」の仕組みや受け取りのポイントを分かりやすく解説します。

1. 【この記事の3つのポイント】

  • 年金受給額の実態: 現役時代の加入状況によって、受給額には大きな個人差がある
  • 給付金の仕組みと増額: 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」の基礎知識と、2026年度の増額内容
  • 対象条件と申請手順: 給付金を受け取るための具体的な要件と、忘れずに行いたい申請手続き

2. 老後の公的年金はいくら?受給額にみられる「大きな個人差」の実態

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均的な月額は、国民年金(老齢基礎年金)が約5万円、厚生年金(国民年金部分を含む)が約15万円です。

厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)2/5

厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

ただし、グラフが示すように、月額30万円以上の厚生年金を受け取る人がいる一方で、国民年金・厚生年金ともに月額3万円に満たない人もおり、受給額は人によって大きく異なります。

年金とその他の所得を合わせても一定の基準を下回る場合、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。

3. 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」とは?2026年度は3.2%増額へ

年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定基準額以下の年金受給者を支援するため、2019年に始まった制度です。この給付金は、2カ月に一度、公的年金に上乗せされる形で支給されます。

受給している年金の種類に応じて、以下の3つの年金生活者支援給付金があり、それぞれに支給要件と支給額(基準額)が定められています。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

3.1 【2026年度】年金生活者支援給付金の支給額一覧

2026年度における年金生活者支援給付金の額は、前年度から3.2%の引き上げとなりました。

【2026年度】

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

老齢年金生活者支援給付金の場合、この基準額を基に、保険料の納付済み期間などに応じて実際の給付額が算出されます。

上記はいずれも月額表示です。支給日には2カ月分がまとめて年金に上乗せされます。もし上記の金額を満額受給できる場合、1回の支給で約1万1000円、年間では約6万7000円を受け取れる計算になります。

なお、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円でした。

※2025年3月時点で認定されている平均給付額です。

4. 次回支給日は8月14日!年金生活者支援給付金の「対象となる条件」

年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件を確認していきましょう。

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれの基礎年金(障害基礎年金または遺族基礎年金)を受給しており、前年の所得が479万4000円以下の人が対象です。

この給付金の所得判定には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額は引き上げられます。

一方で、「老齢年金生活者支援給付金」は、本人の所得以外にもいくつかの要件が加わります。

4.1 「老齢年金生活者支援給付金」の具体的な支給要件

老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、以下の支給要件をすべて満たす人です。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下である

老齢年金生活者支援給付金の所得判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は計算に含まれません。

また、所得が基準額をわずかに超えて給付対象外となる人と、基準額ぎりぎりで対象となる人との間に不公平が生じないよう、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みが設けられています。

補足的老齢年金生活者支援給付金について

昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得が80万9000円を超え90万9000円以下の方、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得が80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

この給付金は、所得が増えるにつれて給付額が段階的に減少する仕組みになっています。

5. 要注意!年金生活者支援給付金は「自ら請求」しないと受け取れない

年金生活者支援給付金を受け取るには、請求手続きが必要です。支給要件を満たしていても、自動的に年金に上乗せされるわけではないので注意しましょう。

すでに年金を受給している方で、所得の減少などにより新たに給付金の対象となった場合、毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。

5.1 緑の封筒が届いたら要チェック!すでに年金を受給中の人の手続き

※すでに年金を受け取っている方の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なります。

なお、これから65歳になる方には、誕生日の3カ月前に老齢基礎年金の請求書とあわせて給付金の請求書が届きます。同封された請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出してください。

5.2 手続きは初回のみ?2年目以降の受給について

年金生活者支援給付金は、一度請求書を提出して受給が決定すれば、支給要件を満たし続ける限り、2年目以降は手続き不要で継続して受け取ることが可能です。

継続して支給されるかどうかの判定は、前年の所得に基づいて毎年行われ、その結果は10月分(12月支給分)から1年間適用されます。もし支給対象外となった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送されます。

また、毎年度(4月分から)の支給金額については、毎年6月上旬に送付される「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」および「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認できます。

6. まとめ

本記事では、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」について解説しました。

この制度において最も注意すべきなのは、「対象要件を満たしていても、自ら申請しなければ受け取れない」という点です。

ご自身が対象となる可能性がある場合は、緑の封筒などの案内を見落とさず、確実に手続きを行いましょう。

2026年度は年金や給付金が増額改定されましたが、それを上回るスピードで物価上昇が続いており、家計への実質的な負担は依然として重い状況です。

今後のインフレにしっかり備えるためにも、まずはこうした公的制度を漏れなく活用することが不可欠です。

その上で、投資信託などを活用した資産運用を取り入れるなど、自助努力による「生活防衛」も併せて検討していくとよいでしょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料