日差しが強まる季節となりましたが、光熱費や食料品などの物価高は依然として続いており、日々の家計に負担を感じている方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、現在のシニア世代は家計に対してどの程度の厳しさを感じているのでしょうか。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」による調査結果を見てみましょう。
このデータによると、70歳代の世帯では、二人以上世帯・単身世帯のいずれにおいても87%が「ゆとりがない(日常生活費で精一杯、もしくは足りない)」と回答しており、大多数が経済的な厳しさを実感していることがうかがえます。
さらに、その最大の理由として半数以上の世帯が「物価上昇」を挙げており、私たちが日頃感じている不安が数字にも表れているといえるでしょう。
このような状況で家計の支えとなりうるのが、公的年金に加えて受け取れる「年金生活者支援給付金」です。
次の年金支給日は、2026年8月14日(金)です。
この支給日を前に、ご自身が給付金の対象になるのか、また、いくら受け取れるのかを把握しておくことは、物価高の時代を乗り切るために重要です。
この記事では、物価高騰に対する一つの備えとして、改めて「年金生活者支援給付金」の制度内容や受給のポイントをわかりやすく解説します。
1. 老後の年金額に差がつくのはなぜ?人によって受給額が違う理由
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、公的年金の平均的な月額は、国民年金(老齢基礎年金)が約5万円、厚生年金(国民年金部分を含む)が約15万円となっています。
しかし、グラフが示すように、実際の受給額には大きな個人差があります。厚生年金を月に30万円以上受け取る方がいる一方で、国民年金・厚生年金ともに月額3万円に満たない方もおり、受給額は幅広い範囲に分布しています。
年金収入とそれ以外の所得を合計しても、国が定める基準額を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」の対象となる可能性があります。
2. 年金生活者支援給付金の支給額《老齢・障害・遺族》2026年度の月額は?
年金生活者支援給付金とは、公的年金の収入やその他の所得が一定の基準額に満たない方を対象に、生活を支援する目的で2019年から始まった制度です。この給付金は、2カ月に1回、年金の支給にあわせて上乗せされる形で支払われます。
受給している年金の種類に応じて、以下の3つの年金生活者支援給付金が設けられており、それぞれに支給要件や支給額が定められています。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2.1 【2026年度版】年金生活者支援給付金の支給額まとめ
2026年度における年金生活者支援給付金の額は、物価の変動などを反映し、前年度と比較して3.2%の引き上げとなりました。
【2026年度の支給額】
- 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5620円
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円
老齢年金生活者支援給付金の場合、この基準額をもとに保険料を納めた期間などに応じて、実際の給付額が計算されます。
上記の金額はすべて月額です。年金の支給日には2カ月分がまとめて上乗せされます。
仮に基準額通りに受け取れる場合、1回の支給で約1万1000円、年間では約6万7000円が支給される計算です。
なお、厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円でした。
※2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。
3. 次回給付はは8月14日!「年金生活者支援給付金」を受け取れる人の条件
ここでは、年金生活者支援給付金を受け取るための具体的な要件について確認していきましょう。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の対象となるのは、障害基礎年金または遺族基礎年金を受け取っており、かつ前年の所得が479万4000円以下の方です。
この所得の計算には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれない点に注意が必要です。また、扶養親族の人数に応じて所得基準額は緩和されます。
一方で、「老齢年金生活者支援給付金」については、本人の所得以外にもいくつかの要件が設けられています。
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」の対象となる3つの条件
老齢年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が対象です。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下である
老齢年金生活者支援給付金の所得判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
また、所得が基準額をわずかに超えたことで給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みが用意されています。
基準額を少し超える方向けの「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは
前年の所得合計額が基準額を超えていても、昭和31年4月2日以降に生まれた方で90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方で90万6700円以下の場合には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
この給付金は、所得が多くなるにつれて支給額が段階的に減少する仕組みになっています。
4. 【手続き必須】年金生活者支援給付金は申請しないと受け取れません
年金生活者支援給付金は、支給の対象になったとしても自動的に受け取れるわけではなく、ご自身で請求手続きを行う必要があります。
すでに年金を受け取っている方で、前年の所得が基準額以下になるなどして新たに対象となった場合、毎年9月1日以降に日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
4.1 毎年9月以降に届く「緑の封筒」に注意!年金受給中の方向けの手続き
※すでに年金を受給している方の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なります。
また、これから65歳になる方には、誕生日の約3カ月前に、老齢基礎年金の請求書とあわせて給付金の請求書が送られてきます。同封の請求書に必要事項を記入し、年金の請求書と一緒に提出してください。
4.2 申請は毎年必要?手続きについて
年金生活者支援給付金は、一度請求書を提出して受給が決定すれば、支給要件を満し続ける限り、2年目以降は手続きをしなくても継続して受け取ることが可能です。
継続して支給されるかどうかの判定は、前年の所得にもとづいて毎年行われ、その結果は10月分(12月支給分)から1年間適用されます。もし対象外となった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。
なお、毎年度(4月分から)の具体的な支給金額は、毎年6月上旬に送付される「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」や「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認できます。
5. まとめ
この記事では、年金生活者支援給付金の制度について解説しました。この給付金を受け取るには請求手続きが不可欠ですので、ご自身が対象だと思われる場合は、忘れずに申請を行いましょう。
物価上昇に対応して年金額なども改定されていますが、上昇率に追いついていないのが現状で、実質的には目減りしているともいえます。今後も物価の上昇が続くと予想されるため、インフレへの備えも大切になってくるでしょう。
株式や投資信託などを活用した資産運用も、インフレ対策の一つの方法です。年金や給付金だけに頼るのではなく、ご自身に合った方法で老後の資金を準備していくことも選択肢の一つではないでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和7年度版)」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 総務省「個人住民税」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- LIMO「【国の給付金】2月13日の支給日「ふつうの年金に上乗せされる人とは?」年金生活者支援給付金のイロハ」
LIMO編集部社会保障解説班