1. そもそも、オルカンとS&P500の「中身」は何が違う?

まず両ファンドの基本的な性格を整理しましょう。

1.1 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算)をベンチマークとし、日本を含む先進国・新興国の株式に幅広く投資するファンドです。

2026年5月末時点の資産構成は以下の通りです。

  • 先進国株式(除く日本): 82.7%
  • 新興国株式: 12.2%
  • 国内株式: 5.0%

「全世界に分散」と聞くと米国への依存度が低いように思えますが、組入上位国の1位はアメリカで62.4%を占めます。日本(5.0%)、イギリス(3.1%)、台湾(3.0%)、カナダ(2.9%)と続きますが、米国だけで6割超を占める構造です。

1.2 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

S&P500指数(配当込み・円換算)をベンチマークとし、米国の主要500社に投資するファンドです。資産の実質100%が米国株式で構成されており、その値動きはほぼそのままS&P500指数に連動します。

1.3 上位銘柄は「ほぼ同じ」

両ファンドを比較するうえで注目したいのが、組入上位銘柄の顔ぶれです。

オルカンの組入上位10銘柄は以下の通りです。

  • NVIDIA CORP(アメリカ): 4.9%
  • APPLE INC(アメリカ): 4.3%
  • MICROSOFT CORP(アメリカ): 2.9%
  • AMAZON.COM INC(アメリカ): 2.5%
  • ALPHABET INC-CL A(アメリカ): 2.1%
  • ALPHABET INC-CL C(アメリカ): 1.9%
  • BROADCOM INC(アメリカ): 1.8%
  • TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC(台湾): 1.7%
  • META PLATFORMS INC-CLASS A(アメリカ): 1.3%
  • TESLA INC(アメリカ): 1.2%

S&P500の組入上位10銘柄は以下の通りです。

  • NVIDIA CORP(アメリカ): 7.9%
  • APPLE INC(アメリカ): 7.0%
  • MICROSOFT CORP(アメリカ): 4.8%
  • AMAZON.COM INC(アメリカ): 4.1%
  • ALPHABET INC-CL A(アメリカ): 3.5%
  • BROADCOM INC(アメリカ): 3.1%
  • ALPHABET INC-CL C(アメリカ): 2.7%
  • META PLATFORMS INC-CLASS A(アメリカ): 2.1%
  • TESLA INC(アメリカ): 1.9%
  • MICRON TECHNOLOGY INC(アメリカ): 1.6%

NVIDIAやApple、Microsoft、Amazon、Alphabetといった大型ハイテク株が上位を占める点は両ファンドで共通しています。最大の違いは比率です。

S&P500ではNVIDIAが7.9%、Appleが7.0%と上位集中度が高く、オルカンではそれぞれ4.9%、4.3%と相対的にやや低くなっています。またオルカンは台湾のTSMCが上位に入る一方、S&P500はすべて米国株で占められます。

「分散」か「集中」かの違いはありますが、上位銘柄の顔ぶれは大きく重なっており、値動きにも共通した性格が出やすい構造といえます。