7. 【75歳以上】見落とし注意。医療費以外にも増える老後の医療関連支出
後期高齢者医療制度では、窓口負担割合や高額療養費制度に注目が集まりがちですが、実際の老後生活では、保険診療の自己負担額以外にもさまざまな医療関連費用が発生します。
とくに高齢期は通院や服薬が長期化しやすく、こうした費用が積み重なることで家計への負担が想像以上に大きくなることがあります。
7.1 薬代は継続的な負担になりやすい
高齢になると、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの慢性疾患を抱える人が増えます。その結果、複数の医療機関から処方を受けるケースも珍しくなく、毎月の薬代が固定的な支出として続くことがあります。
窓口で支払う診察料はそれほど高くなくても、長期間にわたる服薬によって年間ではまとまった金額になることも少なくありません。
7.2 差額ベッド代は高額療養費制度の対象外
入院時に注意したいのが差額ベッド代です。
個室や少人数部屋など、患者が希望して利用する病室では追加費用が発生する場合がありますが、これは高額療養費制度の対象外となります。
入院期間が長引くと、その分だけ自己負担額も増加するため、事前に病院へ確認しておくことが大切です。
7.3 通院交通費も積み重なる支出
医療費そのものではありませんが、通院にかかる交通費も見落としやすい支出です。
加齢に伴い複数の診療科へ通うケースが増えると、電車やバス、タクシーなどの利用頻度も高まります。
とくに公共交通機関の利用が難しい地域では、家族の送迎やタクシー利用が必要になることもあり、継続的な負担となる場合があります。
7.4 介護用品や福祉用具の購入費用
体力や身体機能の低下に伴い、介護用品が必要になるケースもあります。
例えば、
- 杖
- 歩行器
- 介護用ベッド関連用品
- 紙おむつ
- 防水シーツ
などは日常生活を支えるために必要となることがあります。
介護保険による給付やレンタル制度を利用できる場合もありますが、すべてが公的支援の対象となるわけではなく、自己負担が発生するケースもあります。
7.5 訪問サービスの利用が必要になることも
高齢期には、通院が難しくなったり、一人での生活に不安を感じたりすることがあります。
その際には、
- 訪問看護
- 訪問介護
- 配食サービス
- 家事援助サービス
などを利用することがあります。
介護保険が適用されるサービスもありますが、利用回数や内容によっては自己負担額が増えることもあります。
7.6 老後の医療費は「窓口負担」だけでは見えてこない
医療費の自己負担割合が1割であっても、薬代や交通費、介護用品費、訪問サービス利用料などが加わることで、実際の支出は想像以上に膨らむことがあります。
老後資金を考える際には、病院で支払う診療費だけでなく、こうした医療関連支出も含めて見積もることが重要です。
医療費は突然発生する支出というよりも、年齢とともに少しずつ増えながら長期間続く支出です。将来の家計を考えるうえでは、「窓口負担割合」だけでなく、その周辺にある費用にも目を向けておくことが大切でしょう。