4. 二輪事業が四輪事業を支えるホンダの事業構造
ホンダの事業全体を見渡したとき、非常に特徴的な構造が浮かび上がってきます。それが、二輪(バイク)事業と四輪(クルマ)事業の鮮明なコントラストです。
2026年3月期のセグメント別営業利益を見ると、四輪事業はEV関連損失を含んでマイナス1兆4,111億円という巨額の赤字に沈んでいます。
これに対し、二輪事業は7,319億円の黒字を叩き出し、売上高に対する営業利益率も18.2%という極めて高い水準を誇っています。前期比でも増収増益を達成しており、まさに絶好調と言える状態です。
泉田氏はこの財務データから、ホンダの実態を次のように読み解きます。
「簡単に言っちゃうと、二輪で稼いだ利益を四輪に突っ込んでいる形になっているんですよ」
つまり、世界トップクラスの圧倒的な競争力を持つ二輪事業が生み出す潤沢なキャッシュを、苦戦し変革を迫られている四輪事業の改革に注ぎ込んでいるのが、現在のホンダの姿なのです。
しかし、四輪事業には長期的な課題が山積しています。短期的にハイブリッド車へシフトすることで当面の競争力を維持できたとしても、その先には自動運転や次世代ADAS(先進運転支援システム)といった高度な技術競争が待ち受けています。
「自動運転とか安全性の担保っていう競争からは、四輪やっている限りは逃れられないんですよ。てなると、本当にホンダでこの競争を続けていくのかっていうところはやっぱり変わってなくて」
四輪事業を継続する限り、この過酷な技術競争から降りることはできません。ホンダにとって四輪事業のあり方そのものが、構造的な課題として重くのしかかっています。
