物価の上昇が続くなか、「わが家の貯蓄は足りているのだろうか」と気になる方も多いのではないでしょうか。30歳代から50歳代は、結婚や住宅購入、教育費、そして老後の準備が重なり、家計のやりくりがもっとも難しい時期ともいえます。
「まわりはどれくらい貯めているのか」を知ることは、自分の家計を見直す第一歩になります。ただし、平均だけを見ると実態を見誤りがちです。平均とあわせて、真ん中の世帯を示す「中央値」も確かめておきましょう。
今回は、30歳代・40歳代・50歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値を確認し、あわせて現役世帯の「貯蓄の中身」もみていきます。
1. この記事を読んだらわかる3つのポイント
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30〜50歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値(50歳代は平均1908万円・中央値700万円) -
平均と中央値の大きな差=一部の世帯が平均を押し上げる「二極化」の実態 -
現役中心の勤労者世帯の貯蓄は平均1717万円。その「中身」は預貯金と有価証券でどう違う?
2. 【30〜50歳代二人以上世帯の平均貯蓄額】中央値は?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、30歳代・40歳代・50歳代の二人以上世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
2.1 30〜50歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 30歳代二人以上世帯:平均1096万円/中央値311万円
- 40歳代二人以上世帯:平均1486万円/中央値500万円
- 50歳代二人以上世帯:平均1908万円/中央値700万円
いずれの年代も、平均が中央値を大きく上回っています。たとえば50歳代は平均1908万円に対して中央値は700万円で、その差は1200万円ほど。まとまった蓄えのある一部の世帯が平均を押し上げているためで、実感に近いのは中央値のほうでしょう。参考までに、二人以上世帯全体の全国平均は1940万円、中央値は720万円です。
金融資産を保有していない世帯(貯蓄なし)は、30歳代17.6%、40歳代18.8%、50歳代18.2%と、いずれの年代でも2割近くにのぼります。一方で、2000万円以上の世帯も30歳代12.5%、40歳代21.3%、50歳代26.9%と年代とともに増えており、同世代のなかでも「貯めている世帯」と「そうでない世帯」の差が広がっていることがうかがえます。
3. 現役世帯の「貯蓄の中身」もみる—勤労者世帯の貯蓄と内訳とは
貯蓄は「いくらあるか」だけでなく「何で持っているか」も大切です。
ここでは、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」から、現役世代を中心とする勤労者世帯(世帯主が働いている二人以上世帯)の貯蓄もみておきましょう。なお、この統計は先ほどのJ-FLECの調査とは別の一次資料で、集計方法や対象が異なります。
同調査によると、二人以上の世帯の貯蓄現在高は平均2059万円ですが、平均値を下回る世帯が66.1%と約3分の2を占めます。平均は一部の高額世帯に引き上げられるため、多くの世帯にとっては実感より高い数字になりがちです。このうち勤労者世帯(二人以上世帯の56.2%)に絞ると、貯蓄現在高は平均1717万円、貯蓄を保有する世帯の中央値は1015万円でした。
勤労者世帯の貯蓄を種類別にみると、内訳は次のとおりです。
- 通貨性預貯金:641万円(構成比37.3%)
- 有価証券:370万円(構成比21.5%)
- 定期性預貯金:343万円(構成比20.0%)
- 生命保険など:321万円(構成比18.7%)
- 金融機関外:41万円(構成比2.4%)
すぐに動かせる通貨性預貯金が4割近くを占める一方、有価証券も2割を超えており、株式や投資信託などで運用する現役世帯も少なくないことがわかります。
前年からは通貨性預貯金(前年比9.0%増)や有価証券(同25.4%増)が増えており、物価が上がるなかで、預貯金と運用を組み合わせる動きが少しずつ広がっているとも読み取れます。また、なかには保有資産額が増えた場合もあるでしょう。
4. 金融機関出身者のアドバイス
30〜50歳代の二人以上世帯は、平均で1096万〜1908万円、中央値では311万〜700万円の貯蓄がありました。同世代でも差が大きく、これから差がつくのもこの年代です。元証券会社社員で個人の資産形成に携わってきた立場から、現役のうちにできることを3つお伝えします。
ひとつめは、「先取り貯蓄」の自動化です。給与が入ったら、使う前に一定額を別口座や積立に回す仕組みをつくると、無理なく続けられます。
ふたつめは、当分使わないお金の一部を、長い時間をかけて育てることです。物価が上がる局面では、預貯金だけだとお金の価値が実質的に目減りしやすいため、NISAなどを活用した長期・分散の積立も選択肢になります。ただし元本割れのリスクがあり、金融商品や方法によってリスクが異なるため、無理のない範囲で検討しましょう。
みっつめは、固定費の見直しです。保険や通信費など毎月かかるお金を一度点検すると、浮いた分をそのまま貯蓄や積立に回せます。
参考資料
宮野 茉莉子



