3. 老後資金への不安、インフレにどう備える?「資産の置き場所」を見直すヒント

3.1 40代に多いお悩み相談は「物価上昇で預金の価値が目減りするのが不安」「過去に投資で失敗した経験があり運用に慎重」

40代のお客様
これまでコツコツと貯蓄を続け、まとまった資金は準備できています。ただ、物価が上がっているのに預金は増えないので、資産の価値が目減りしないか不安です。一方で、過去に投資信託で元本割れを経験したこともあり、運用には慎重になっています。

老後の生活費について、「年金だけで本当に暮らしていけるのだろうか」「今の貯蓄ペースで将来足りるのか」と不安を感じる方は多いです。中には、財形貯蓄などでコツコツとまとまった資金を準備できている方でも、昨今の物価上昇を目の当たりにして、預金のまま置いておくことに危機感を覚えるケースも見られます。

一方で、過去に投資信託で元本割れを経験したことがあり、資産運用に対しては慎重な姿勢を持つ方も少なくありません。手堅く貯めてきた資産を減らしたくないという思いと、インフレによる目減りを防ぎたいという思いの間で、どう老後の準備を進めるべきか迷われるケースが多いようです。

65歳以上の世帯が実際にどのくらいの年金・貯蓄・生活費で暮らしているかについては、こちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額・年金月額・1カ月の生活費をデータで見る

3.2 【現役アドバイザーからのアドバイス】インフレに負けない資産の育て方

まず見直したいのは、資産を置く場所の分散です。円だけで資産を持つこと自体がリスクになりうるという視点は見落とされがちです。預貯金は額面が減らない安心感がある一方で、物価が上がれば実質的な購買力は低下してしまいます。老後の生活費を守るためには、円資産だけでなく、外貨建ての資産や投資信託などを無理のない範囲で組み入れ、資産全体の価値を目減りさせない視点が大切になります。

そのうえで、ライフステージに応じた運用の使い分けも重要です。資産形成期である現役時代は、得られた利益を再投資して効率よく資産を育てる手法が適しています。一方で、実際に老後を迎えてからは、資産を大きく増やすことよりも、定期的な利金や分配金を受け取って日々の生活費の足しにするような使い方が現実的です。時期によってお金の働き方を変えていくという考え方は、長期的な資産形成において若い頃以上に大切になります。

また、老後の収入源を一つのものに頼らないという発想も欠かせません。年金をベースの収入としつつ、足りない部分をNISAでの運用益や債券の利金、あるいは預貯金の取り崩しなどでパズルのように補っていくという考え方が、将来の安心につながります。

奥田 朝
老後の生活費に不安を感じ、「とにかくたくさん貯めなければ」と焦ってしまうという声をよくいただきます。しかし、ただ漠然と不安を抱える前に、まずはインフレへの備え、時期に応じた運用の使い分け、そして複数の資産の組み合わせを一つずつ整理してみることが、自分に合った老後の生活設計を描く出発点になります。

4. 【監修者コメント】45歳から20年間、NISAで月3万円運用したらどうなる?

中本 智恵
銀行員時代、これまで多くの資産運用のご相談をお受けしてきましたが、過去に元本割れを経験した方ほど、「少額から始めること」が長く続けるためのポイントだと感じています。

たとえば45歳から65歳までの20年間、年3%程度の利回りで運用できたと仮定すると、元本720万円に対して資産評価額は約985万円になる計算です。

新NISAを活用すれば、こうした運用益がすべて非課税になる点も見逃せません。通常であれば利益に約20%の税金がかかるところ、非課税の恩恵をそのまま受け取れます。

大切なのは、すでにお持ちの資産をすべて投資に回すのではなく、生活防衛資金や当面使う予定のない資産と切り分けたうえで、無理のない金額から始めることです。運用を始めた後も、家計の状況に応じて積立額を見直しながら、インフレに強い資産を並行して育てていく、というイメージを持っていただくとよいでしょう。

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出所:各種資料をもとにLIMO編集部作成

出所:各種資料をもとにLIMO編集部作成

5. おわりに

今回は、シニア世代が対象となる、申請しないともらえない2つの公的給付金について解説しました。

加給年金や老齢年金生活者支援給付金は、いずれも自動的に支給されるものではなく、ご自身での手続きが必要です。

制度の存在を知らずに機会を逃してしまうのは、非常にもったいないことかもしれません。

ご自身が対象になるかどうか、まずは条件を確認してみてはいかがでしょうか。

これらの支援制度を上手に活用し、より豊かで安心なシニアライフを送るための一助となれば幸いです。

参考資料

奥田 朝