1.1 年金増額でも実質目減り?【マクロ経済スライド】とは
公的年金の支給額は、毎年物価の変動を受けて見直しが行われています。
先述の通り、2026年度の年金額は国民年金で前年度比+1.9%、厚生年金で前年度比+2.0%の引き上げとなりました。
しかし、厚生労働省が示す以下の参考指標と比較すると、年金額は実質目減りしていることがわかります。
〈2026年度の参考指標〉
- 物価変動率:+3.2%
- 名目賃金変動率:+2.1%
これは、物価や賃金の上昇率よりも年金額の上昇幅を抑える仕組みである「マクロ経済スライド」による影響です。
マクロ経済スライドとは、少子高齢化による「現役世代の人口減少」と「平均余命の伸び」を考慮して、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。
具体的には、現役世代の負担が過重となるのを防ぐため、物価・賃金の上昇幅による年金改定率から「スライド調整率」を差し引いて調整しています。
2026年度は、名目賃金変動率をもとにした改定率「+2.1%」から、スライド調整率として「0.2%(厚生年金は0.1%)」が差し引かれています。
- 物価変動率:+3.2%、名目賃金変動率:+2.1%
⇒物価>賃金のため、賃金変動率+2.1%を基準とする
- マクロ経済スライドによる調整:▲0.2%(厚生年金は▲0.1%)
- 年金額改定率:2.1%-0.2%=1.9%(厚生年金は2.1%-0.1%=2.0%)
額面上は増額となっているものの、実質的な負担は増す可能性が高いでしょう。
著者
一種外務員資格(証券外務員一種)保有/金融・法律専門ライター
一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。岐阜県大垣市出身。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は株式会社名古屋銀行に入行。
個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続など幅広い業務に携わる。また、法人営業にも従事し、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。
現在は金融・法律専門ライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意としている。
監修者
マネー編集部年金班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、地方自治体の公務員や生命保険会社等の金融機関にて勤務経験が豊富な編集者が中心となり、厚生労働省や官公庁の公開情報等をもとに公的年金(厚生年金保険と国民年金)、年金制度の仕組み、社会保障制度などをテーマに、丁寧で読者にとってわかりやすい記事の情報発信を行っています。
マネー編集部年金班に所属する編集者は日本生命保険相互会社出身の村岸理美、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか等のファイナンシャルアドバイザー経験者等で構成されており、表彰歴多数の編集者も複数在籍しており、豊富な金融知識をもとにした記事に定評があります。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。生保関連業務経験者は過去に保険募集人資格を保有。(最新更新日:2025年6月8日)