1.1 年金増額でも実質目減り?【マクロ経済スライド】とは
公的年金の支給額は、毎年物価の変動を受けて見直しが行われています。
先述の通り、2026年度の年金額は国民年金で前年度比+1.9%、厚生年金で前年度比+2.0%の引き上げとなりました。
しかし、厚生労働省が示す以下の参考指標と比較すると、年金額は実質目減りしていることがわかります。
〈2026年度の参考指標〉
- 物価変動率:+3.2%
- 名目賃金変動率:+2.1%
これは、物価や賃金の上昇率よりも年金額の上昇幅を抑える仕組みである「マクロ経済スライド」による影響です。
マクロ経済スライドとは、少子高齢化による「現役世代の人口減少」と「平均余命の伸び」を考慮して、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。
具体的には、現役世代の負担が過重となるのを防ぐため、物価・賃金の上昇幅による年金改定率から「スライド調整率」を差し引いて調整しています。
2026年度は、名目賃金変動率をもとにした改定率「+2.1%」から、スライド調整率として「0.2%(厚生年金は0.1%)」が差し引かれています。
- 物価変動率:+3.2%、名目賃金変動率:+2.1%
⇒物価>賃金のため、賃金変動率+2.1%を基準とする - マクロ経済スライドによる調整:▲0.2%(厚生年金は▲0.1%)
- 年金額改定率:2.1%-0.2%=1.9%(厚生年金は2.1%-0.1%=2.0%)
額面上は増額となっているものの、実質的な負担は増す可能性が高いでしょう。
