4. 【75歳以上 後期高齢シニア夫婦】毎月の赤字が積み重なると資産寿命はどう変化するのか

4.1 貯蓄が支える期間の目安

ここまで確認してきたように、後期高齢シニア夫婦の家計では、年金収入から税金や社会保険料が差し引かれることで、平均すると毎月約2万7000円の赤字が発生しています。

多くの世帯では、この不足分を貯蓄の取り崩しによって補いながら生活しているのが実情です。

仮に毎月の赤字が継続した場合、年間の不足額は約32万4000円になります。単純計算では、平均貯蓄額である2392万円は、およそ73年分の赤字を補える規模ということになります。

ただし、この数字だけを見て「十分に安心できる」と考えるのは早計です。

4.2 家計調査に表れにくい支出がある

家計調査に掲載されている支出は、基本的には日常生活にかかる平均的な費用をもとにしたものです。

そのため、入院や手術による自己負担、介護サービスの利用料、老人ホームなどへの入所費用といった、高額になりやすい支出までは十分に反映されていません。

こうした支出が重なった場合、一時的に赤字額が月数万円規模へ膨らむこともあり、ケースによっては十数万円単位の負担増になる可能性もあります。

さらに、2392万円という金額はあくまで平均値です。すべての世帯が同じ程度の資産を保有しているわけではありません。

平均を下回る資産水準の世帯では、赤字を補える期間は当然短くなります。「平均貯蓄額が高いから安心」と単純には言い切れない現実がある点には注意が必要です。