新NISAは累計で最大1800万円まで投資できます。「全部投資したらいくらになるの?」「増えたお金はどうやって使えばいいの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、「オルカン」とS&P500の運用実績と、1800万円の運用シミュレーションをわかりやすく解説します。また、増えた資産をどう受け取るか「出口戦略」についても3つのパターンで紹介します。
1. 【新NISA】「オルカン」と「S&P500」リターンはどっちが高い?
まず、オルカンとS&P500の大まかな違いを整理しましょう。
1.1 オルカン:全世界の株式に投資。実績リターン年15.8%
オルカンは三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の愛称です。日本を含む世界中の株式で構成される指数「MSCI ACWI」への連動を目指して運用されます。
MSCI ACWIの円建て配当込み指数は、2026年3月末までの10年間で年率15.84%成長しました。10年間で4.35倍の好成績を残した格好です。
1.2 S&P500:米国株式に集中投資。実績リターン年18.2%
S&P500は米国の主要な500社で構成される株式指数です。MSCI ACWIのような地域の分散はなされていません。
S&P500の円建て配当込み指数は、2026年3月末までの10年間で年率18.20%上昇しました。10年間では5.32倍と、MSCI ACWIよりもさらに高い利回りが出現しています。
1.3 「値動きはそっくり」累積リターンはS&P500に軍配
オルカンと同じシリーズで、S&P500への連動を目指す投資信託は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。後発のオルカンは2018年10月末から運用を開始しているため、そこから起算して両者の値動きを見てみましょう。
2026年4月21日までの累積リターンは、「S&P500」の方が高くなりました。「S&P500」は4.1倍に値上がりしており、オルカンの3.6倍を上回る成績を残しています。
eMAXIS Slimシリーズの基準価額(2018年10月31日~2026年4月21日)1/2
出所:著者作成
もっとも、両者は値動きの方向感に大きな違いは見られません。オルカンも大部分が米国株式であり、値動きは似やすい傾向にあります。
※これは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。直近10年は米国株を中心とした歴史的な上昇相場であった点に留意が必要です。
2. 【新NISA】投資額累計1800万円、その後「ほったらかし運用」20年後はどうなっている?
オルカンのMSCI ACWIやS&P500の実績はいずれも良好で、そのままシミュレーションすると期待が過剰になるかもしれません。
ここでは、もう少し低い利回りでシミュレーションしてみましょう。
2.1 NISAシミュレーションの前提
・年初に360万円を一括投資資
・新規投資は累計1800万円に達するまで継続(5年目まで)
・累計1800万円に達した以降は新規投資せず運用を継続(6年目以降)
シミュレーションは、NISAの年間投資可能額である360万円を年初に一括投資する前提で行います。NISAのうち、つみたて投資枠は積立投資が前提ながら、ボーナス投資などの設定を利用すれば一括投資に近い運用も可能です。
新規投資は、NISAの累計投資可能額(非課税保有限度額)である1800万円に達するまで行います。年360万円なら、5年目で1800万円に達する計算です。6年目以降は新規投資は行わず、運用のみを継続します。
2.2 利回り5%なら17年で倍増 非課税でそのまま手取りに
この前提で利回りを5%とした場合、運用益は17年目で投資額の1800万円を上回ります。運用益は20年目に約2542万円に達し、本来は約516万円の税金が生じるところ、NISAなら非課税です。
利回り5%運用シミュレーション2/2
出所:著者作成
2.3 利回り別 20年後の運用額
・利回り3%:3067万円(運用益:1267万円)
・利回り5%:4342万円(同2542万円)
・利回り7%:6112万円(同4312万円)
・利回り10%:1億99万円(同8299万円)
NISAで1800万円を最短で投資すると、比較的小さい利回りでもまとまった資産となります。また、NISAなら税金がかからないことも大きなポイントです。
※本シミュレーションは過去の実績を基にした試算であり、将来の成果を保証するものではありません。市場環境により資産が大きく減少するリスクもあり、常に右肩上がりで推移しない点に注意が必要です。
3. 【新NISA】増えたお金「どう使う?」プロが伝える出口戦略3選
NISAで大切な視点が「どう使うか」です。代表的な3つの方法を比較してみましょう。
3.1 定額取り崩し
・メリット:毎月の収支が読みやすい
・注意点:枯渇リスクは高め
毎月一定額(例:10万円)を売却して生活費に充てる方法です。家計の見通しが立てやすく、年金に近い感覚で使えます。
ただし、運用額にかかわらず一定額を取り崩すため、長生きした場合に枯渇するリスクがあります。残高と照らし合わせて計画的に設定しましょう。
3.2 定率取り崩し
・メリット:残高に応じて取り崩すので長持ちしやすい
・注意点:毎月の受取額が変動する
一定の率(例:残高の1%)で取り崩す方法です。残高が多いときは多く、少なくなれば取り崩し額も減るため、定額取り崩しと比べ資産が尽きにくくなります。
ただし、毎月の受取額が変わるため、固定費の多い人には向かない場合もあります。
3.3 持ち続けて分配金を受け取る
・メリット:解約の手続きが不要
・注意点:オルカンは分配金がない。分配型ファンドの選択が必要
資産を売却せず、投資信託が支払う分配金を生活費に充てる方法です。売却の手続きがないため、自動的にお金を受け取れます。
ただし、オルカンやS&P500の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は分配金を出したことがなく、今後も分配しないことが想定されます。
この方法を取りたい場合は、毎月分配型といった別の銘柄への乗り換えも検討しましょう。NISAは売却すると翌年に投資額が復活するため、銘柄の入れ替えも可能です。
4. 【新NISA】出口に近づいたら「株式の比率」下げる選択肢も
シミュレーションはあくまで「一定の利回りが続いた」前提です。実際は上下に変動するため、試算どおりにならない点には留意しておきましょう。
また、オルカンやS&P500の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は原則として株式のみで運用される銘柄であり、リスクは比較的高めです。
運用の出口に近づいてきたら、相対的に値動きが小さい債券の組み入れも検討しましょう。また、現金の比率を高めるという視点も大切です。
参考資料
- MSCI Inc. 「MSCI ACWI Index (JPY)」
- S&P Dow Jones Indices LLC「S&P 500」
- 資産運用業協会 投信総合検索ライブラリー「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」
- 資産運用業協会 投信総合検索ライブラリー「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」
- 三菱UFJアセットマネジメント株式会社「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)〈愛称:オルカン〉投資信託説明書(交付目論見書)使用開始日 2026.1.24」
- 三菱UFJアセットマネジメント株式会社「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)投資信託説明書(交付目論見書)使用開始日 2026.1.24」
- 金融庁「NISAを知る」
若山 卓也