2. なぜ今、TOPIXの大改革が行われるのか?
では、なぜ今になってTOPIXのルールを大きく変える必要があるのでしょうか。その背景には、日本の株式市場のメインプレイヤーである「外国人投資家」の存在があります。
2.1 外国人投資家が直面する「流動性」の問題
東証の売買代金の大部分を占めているのは、海外の年金基金などの機関投資家です。彼らが日本株に投資する際、大きな障壁となっていたのが「流動性の低さ」でした。
日本の伝統的な大企業の中には、取引先や金融機関同士で株を持ち合う「政策保有株(持ち合い株)」の慣習が根強く残っています。
こうした株は市場に出回らないため、いざ外国人投資家が「この企業に投資したい」と思っても、実際に買える株の量が少なすぎるという問題が発生していました。
泉田氏は、流動性の低い銘柄がインデックスに含まれていることの弊害を次のように語ります。
「取引ができないから株価も動かないわけですよ」
買いたくても買えない銘柄で構成された指数は、外国人投資家から見れば魅力に乏しく、資金を投じる意欲を削ぐ原因となっていました。
2.2 「失われた何十年」からの脱却と国の思惑
日本の株価指数は、バブル崩壊後から長らく「失われた何十年」と呼ばれる低迷期を経験しました。
泉田氏によれば、かつてのTOPIXは下値800ポイントから上値1800ポイントの間を行き来するだけのレンジ相場だったといいます。
しかし現在、インフレへの転換や企業の稼ぐ力の向上により、日本株は長年のボックス圏を抜け出し、右肩上がりの成長を描き始めています。
「右肩上がりのインデックスを作ろうと思うと、やっぱり決まったメンバーだけじゃなくて新しい人も入れるというのがひとつポイントですね」
泉田氏がこう指摘するように、成長性の高い企業を新たに取り込み、取引が活発な魅力的な市場へと生まれ変わらせるための起爆剤が、今回のTOPIX大改革なのです。
【動画で解説】TOPIX大改革で何が変わる?
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日