新年度を迎え、昇給や生活環境の変化など、家計を見直すきっかけが多い4月。ふとした瞬間に「ひとりで迎える老後のお金、大丈夫かな」と不安を感じることはありませんか。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、全国の単身世帯の76.8%が老後の生活について「心配である」と回答しています。
この記事では、同調査の最新データから見えてきた単身世帯のリアルな「貯蓄事情」と、不安を少しでも和らげるための具体的なヒントをご紹介します。
1. 貯蓄ゼロが3割超え!?40歳代・50歳代単身世帯の貯蓄額はいくらか
人生の折り返し地点となる40歳代〜50歳代ですが、同世代の貯蓄額には大きな開きがあります。
1.1 40歳代・おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)はいくら?
- 金融資産非保有:32.1%
- 100万円未満:15.1%
- 100~200万円未満:7.1%
- 200~300万円未満:5.9%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.2%
- 1500~2000万円未満:1.2%
- 2000~3000万円未満:2.8%
- 3000万円以上:9.9%
- 無回答:2.5%
- 平均:859万円
- 中央値:100万円
約3割の人が「貯蓄ゼロ」となっています。50歳代ではどうでしょうか。
1.2 50歳代・おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)はいくら?
- 金融資産非保有:35.2%
- 100万円未満:10.1%
- 100~200万円未満:7.4%
- 200~300万円未満:4.6%
- 300~400万円未満:2.7%
- 400~500万円未満:3.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.0%
- 1500~2000万円未満:3.3%
- 2000~3000万円未満:5.5%
- 3000万円以上:10.4%
- 無回答:1.9%
- 平均:999万円
- 中央値:120万円
1.3 金融資産を保有していない(貯蓄ゼロ)世帯の割合
- 40歳代単身世帯:32.1%
- 50歳代単身世帯:35.2%
1.4 金融資産を3000万円以上保有している世帯の割合
- 40歳代単身世帯:9.9%
- 50歳代単身世帯:10.4%
実に3割以上のおひとりさまが「貯蓄ゼロ」という厳しい現実がある一方で、約1割の人は「3000万円以上」のまとまった資産を築き上げています。
この格差は、平均値と中央値(データを順番に並べたときに真ん中にくる数値)のズレにも表れています。
金融資産の平均値は40歳代で859万円、50歳代で999万円と高額ですが、より実態に近い中央値で見ると、40歳代は100万円、50歳代は120万円まで下がります。
一部の富裕層が平均を押し上げているだけで、多くの単身者にとって「資産100万円前後」というのが等身大のリアルな数字と言えるでしょう。
2. 8割以上が抱える「老後への不安」とその正体
資産の二極化が進む中、将来への不安は世代共通の悩みのようです。老後の生活について「非常に心配である」「多少心配である」と答えたおひとりさまは、40歳代で82.7%、50歳代で82.8%にものぼります。
2.1 老後の生活を心配する理由トップ3
- 十分な金融資産がないから:40歳代で75.7%、50歳代で75.2%
- 年金や保険が十分ではないから:40歳代で35.1%、50歳代で44.9%
- 物価が上昇することがあり得ると考えられるから:40歳代で32.1%、50歳代で29.0%
やはり一番のネックは「お金」です。年金だけで暮らしていけるのか、インフレで生活費が高騰しないかという懸念が強く表れています。
また、老後のひと月当たりの最低予想生活費について、40歳代は32万円、50歳代は34万円と想定しています。(いずれも単身世帯)
さらに、年金支給時に最低準備しておくべき金融資産残高としては、40歳代が2311万円、50歳代が2144万円必要だと考えています。
しかし、実際に老後を迎えたとき、毎月30万円以上の出費が続き、2000万円以上の貯金が必要となるのでしょうか。次の章で、60歳以上のひとり暮らしの人の実際の「1か月当たりの生活費」を見てみましょう。
3. おひとりさまの現実!60歳以上のリアルな生活費
ここで視点を変えて、すでに老後を迎えている「60歳以上の先輩おひとりさま」の実際の生活ぶりを見てみましょう。
内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、60歳以上のひとり暮らしの人の実際の「1か月当たりの生活費」は、10万円〜15万円未満という層が最も多くなっています。
また、実際の「1か月当たりの収入」についても、ひとり暮らしの人は10万円〜15万円未満の割合が最多です。
40歳代・50歳代が想定していた「最低でも月32万円〜34万円必要」という予想に対して、実際のシニア単身者は「月10万円台」でやりくりしているケースが多いのです。
さらに、60歳以上の人に「現在より収入を増やす必要がある場合、どのような方法をとるか」を聞いたところ、最も多かった回答は「節約等により支出を減らす」でした。次いで「貯蓄を取り崩している」、「自分が仕事をして収入を得る」と続く結果となりました。
4. 新年度をきっかけに、今日からできる一歩を
データを見ていくと、40歳代や50歳代の老後への不安は、実態よりも大きく感じられている可能性がありそうです。
たしかに、一人暮らしの高齢者は、家族と同居している場合に比べて、生活への不安を感じやすい傾向があります。老後に向けた備えが大切なのは間違いありません。
一方で、不安感だけが先行すると、必要以上に資金を見積もってしまうケースも考えられます。まずは、自身の生活費をベースに「実際にどの程度の支出が必要なのか」を具体的に把握することが重要です。
現在の支出をもとに、老後に減少が見込まれる項目(住居費や保険料、通信費など)を整理することで、より現実的な水準が見えてきます。
また、現時点で十分な貯蓄がない場合でも、過度に悲観する必要はありません。少額からでも継続的に資産形成を進めることで、将来に向けた備えを整えていくことができます。データと実態の双方を踏まえながら、自身に合った準備を進めていきましょう。


