4. 政府出資から米国展開へ?今後のシナリオと不確実性
決算データから見えたのは、極めて厳しい資金繰りだと言える状況です。それにもかかわらず、なぜ投資家はJDIの株を買うのでしょうか。
泉田氏は、業績が極めて厳しい状況にあるからこそ、外部環境の変化による「一発逆転のシナリオ」に期待が寄せられていると分析します。そのシナリオの核となるのが、前述した対米投資のニュースです。
もし本当にJDIがアメリカでの工場運営を任されることになった場合、単に仕事がもらえるだけでなく、根本的な財務体質の改善を伴うスキームが発動する可能性があります。
泉田氏は、市場が思い描く最高のシナリオを次のように推測します。
「政府がこの会社に出資して財務体質を強くした上で、そのお金でアメリカに工場を作ってくださいってなると、一応財務体質も良くなるし、今度売上がつくから売上が増えて利益が出るって形にはなるので。そうすると今の状態から脱して、普通の会社に戻っていく過程になる」
もし政府の支援(出資)が得られれば、現在の債務超過という重荷が一気に解消されます。
そしてアメリカでの安定した需要(売上)が確保できれば、長年の赤字体質から黒字化へと転換できるかもしれません。この「どん底から普通の会社に戻る」という変化率の大きさこそが、株価を何倍にも押し上げる原動力になると期待されているのです。
しかし、泉田氏はこのシナリオに対して冷静な視点を崩しません。
現時点では「何も決まった話がない」からです。期待だけで株価が先行している状態であり、一つひとつの事実(本当に打診があったのか、政府の支援は決まったのかなど)を慎重に確認していく必要があると強調します。