厚生労働省から、2026年度の基礎年金の受給額は、満額で月額7万608円になると公表されました。年金額は1.9%増加していますが、物価上昇率3.2%には追いつかず、価値は目減りしています。
年金改定では、受給額だけではなく保険料負担など関連する費用も変わります。個人事業主・フリーランスは、国民年金保険料の金額が気になるところ。2026年度の国民年金保険料は、今年度から増額することが決定しています。
しかし、年収が一定額以下の場合は免除される可能性もあります。この記事では、2026年度の国民年金保険料の金額や免除の要件などを解説します。
1. 2026年度の国民年金保険料
2026年度の国民年金保険料は、月額1万7920円となる見込みです。今年度から410円上昇しており、個人事業主・フリーランスは年間で約5000円の負担増となります。
国民年金保険料は、2004年の制度改正により、段階的に引き上げられてきました。2017年にこの引き上げは一旦完了しましたが、2019年4月から個人事業主などの国民年金第1号被保険者に対して、産前産後期間の保険料免除制度が施行されたため、保険料基準額は1万7000円となりました。
そして、実際の金額は、国民年金法第87条第3項にもとづき、名目賃金の変動に応じて毎年度改定される仕組みになっています。計算式は以下のとおりです。
- 保険料改定率=前年度の保険料改定率×物価変動率×実質賃金変動率
実際に計算すると、以下の結果になります。
- 改定率=1.03×1.027×0.996≒1.054
- 保険料額=17000×1.054=17918≒17920
よって、2026年度の保険料は月額1万7920円となります。年間で21万5040円の負担であり、家計への影響は決して小さくありません。
保険料を未納にすると、将来受け取れる年金が少なくなるだけでなく、障害年金や遺族年金を受け取れなくなる可能性があります。最悪の場合、財産差し押さえの対象となることも考えられるでしょう。しかし、年収によっては保険料が免除される場合もあります。保険料の免除要件について、次章で解説します。
2. 年収いくらで保険料が免除される?
国民年金保険料の免除は、以下の4種類に分かれます。
- 全額免除
- 4分の3免除
- 半額免除
- 4分の1免除
免除額は、前年の所得金額によって決まります。要件は以下のとおりです。
- 全額免除:(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
- 4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
全額免除のみ、基準額に扶養控除や社会保険料控除が考慮されません。単身なら所得67万円以下、夫婦なら所得102万円以下で保険料が全額免除されます。
このほかの免除については、所定の金額に扶養控除や社会保険料控除の金額を合わせたものが基準になります。扶養控除は38万円・48万円・58万円・63万円のいずれか、社会保険料控除は収入の15%程度とおさえておくとよいでしょう。
しかし、自身の年収が低くても保険料が免除されない場合があります。このケースについて、次章で解説します。
3. 年収が低くても保険料が免除されないケース
年収・所得が低くても、国民年金保険料が免除されないケースもあります。代表的な例が、所得要件を満たしている人が納付者本人のみの場合です。
国民年金保険料の免除は、納付者本人だけでなく、世帯主・配偶者も所得要件を満たしていなければ認められません。たとえば、自身は年収100万円でアルバイトで生計を立てて生活していても、同棲する世帯主の親族や配偶者の所得が基準を上回っていると、国民年金保険料の免除対象外となります。
世帯として、所得が少ない人の保険料を納められる経済力があるとみなされるのです。
保険料の免除を受けるには、世帯を分けるのが有効ですが、自身が親族の扶養に入っている場合は、親族の税額が増える可能性があります。
このケースに該当する人は、世帯内でよく話し合ったうえで免除を受けるかどうか決定しましょう。
次章では、保険料免除による年金額について解説します。
4. 国民年金保険料免除による年金額はいくら?
国民年金保険料の免除を受けると、その期間の年金は減額されます。
保険料が免除されるメリットとして、65歳から受け取れる老齢基礎年金の受給資格期間に反映される点が挙げられます。免除期間があっても、年金自体を受給できる権利は獲得できる可能性があるのです。
一方、デメリットとしては、保険料の免除が年金受給額にも反映される点が挙げられます。全額納付した場合に比べて、受け取れる年金額が少なくなるため、年金以外の備えや各種給付制度の利用が重要になります。
保険料免除を受けた際の年金額は、以下のとおりです。
- 全額免除:全額納付した場合の年金の2分の1
- 4分の3免除:全額納付した場合の年金の8分の5
- 半額免除:全額納付した場合の年金の8分の6
- 4分の1免除:全額納付した場合の年金の8分の7
たとえば、30月保険料が全額免除された場合、その期間の年金受給額は保険料を全額納付したときと比べて半分になります。納付が再開されると、保険料の減額も終了します。
なお、国民年金保険料は免除のほかに納付猶予制度も設けられています。納付猶予は免除とは異なり、猶予期間は老齢基礎年金の受給金額に反映されません。後から保険料を納めれば、年金の受給金額に反映される仕組みです。将来保険料を納められる余裕があるのなら、納付猶予を受けたほうが、年金が減額されずに済む可能性があるでしょう。
5. まとめ
2026年度の国民年金保険料は、今年度から410円増加の予定です。年間約5000円の負担増ということもあり、所得の少ない人にとっては決して小さな負担とはいえません。
所得が基準に合致するなら、保険料納付を免除してもらい、生活の立て直しに注力しましょう。納付が難しい場合は、自己判断で未納にせず、年金事務所や市区町村の年金窓口で相談し、綿密な納付計画を立てていくことが重要です。
