4月は新学期、新年度ということで皆さんも様々な取り組みをしているのではないでしょうか。今年度こそは「資産形成」とお考えの方も多いでしょう。さて、その中でどのように資産形成をしてよいか迷っている方も多いかと思います。
資産形成でよく耳にするのが「ドルコスト平均法」。毎月積み立てる預貯金のように投資を行う「つみたて投資」では必ずといってよいほど出てくるキーワードです。ところが、この「ドルコスト平均法」には使用上の注意があります。今回はその点を見ていきましょう。
ドルコスト平均法とは
ドルコスト平均法とはどのようなものなのでしょうか。
ドルコスト平均法とは、毎回一定の金額で金融資産、金融商品を買い付けていく手法です。
たとえば、毎回1万円を5回に分けて株式に投資することにします。株価は毎回変動するので異なる株価であることがあります。以下、株価と買い付けることができる株数を見ていきましょう(ここでは、売買手数料は考えないことにします)。
- 1回目:株価100円、株数100株
- 2回目:株価110円、株数90.9株
- 3回目:株価120円、株数83.3株
- 4回目:株価130円、株数76.9株
- 5回目:株価140円、株数71.4株
このようにドルコスト平均法では、毎回の買い付け金額を設定しているために、株価が上昇するとその分買い付ける株数が少なくなり、より高い株価で多くの株数を買い付けるということを避けることができます。
さて、5回の買い付けを行い、全体の資産はどう変化したのでしょうか。投下資本は毎回1万円を5回投資したので、5万円となっています。
先ほど買い付けた株数を全部合計すると、422.5株となります。先ほどの計算で少数第一位までを使用しているので、多少の誤差がありますが、ここでは無視してください。
422.5株に5回目に買い付けた時の株価である140円をかけてみましょう。
結果は「5万9150円」となっております。しっかりと増えています。
それでは、平均買い付け単価はどうなったのでしょうか。5万円で422.5株を保有しているわけですから、5万円を422.5株で割ると、118.3円となります。
5回目の株価が140円ですので、その株価を大きく下回る平均買い付け単価というわけです。
こうした側面をとらえて、「ドルコスト平均法は安く資産を買い付けることができる」と勘違いをしている方を時折見かけます。
では、何が違うのかを見ていくことにしましょう。
ドルコスト平均法の落とし穴
先ほど見たように、5回に分けて1万円を投資するケースを見ていきましょう。
- 1回目:株価100円、株数100株
- 2回目:株価90円、株数111.1株
- 3回目:株価80円、株数125株
- 4回目:株価70円、株数142.8株
- 5回目:株価60円、株数166.6株
今回買い付けた株数を合計すると、645.5株となります。先ほどは422.5株でしたので、さらに多くの株を買い付けることができたといえます。先ほどと比べると株価が下落トレンドでしたので、より多くの株数を買い付けることができました。
これもドルコスト平均法の特徴です。一定の金額を毎回投資するために、株価が下がるとそれだけ多くの株数を手に入れることができます。
さて、毎回1万円を5回に分けて投資しましたが、現在の資産はいくらとなっているのでしょうか。
645.5株に5回目の株価である60円をかけてみましょう。
結果は「3万8730円」となり、投じたはずの5万円を下回っていることになります。
こう見ると、ドルコスト平均法が万能ではないということにお気づきかと思います。株価が下がる中でドルコスト平均法を続けても、平均の買い付け値は下がるものの、含み損失という傷口はどんどん開いていきます。
これは株式市場でいう「難平(なんぴん)買い」に近いものがあります。
そして、株式市場では「難平買いはするな」という戒めもあります。
ドルコスト平均法は買い付ける資産の目利きがすべて
ドルコスト平均法は、長期的に資産が右肩上がりである資産で基本的にはうまく機能するものです。
先ほども見たように、資産価格が下げトレンドの資産をドルコスト平均法で買い続けると含み損失が拡大します。
資産価格がレンジ内(ボックス圏内)の資産であれば、継続的に買い続けていれば、レンジ内での推移の中で資産価格の上昇局面で含み益が出て、下降局面で含み損が出るというのを繰り返すことになります。したがって、レンジ内で資産価格が推移する対象についてはトレーディング(売買)が必要ということになります。
「つみたて投資」をはじめ、「つみたてXXX」というようなキーワードをよく目にするようになりましたが、その際に一定金額を定期的に投資する際には、資産価格が上昇するという可能性が高いものを選択する必要があります。
つみたて投資において、外国株式のインデックスファンドをおすすめする人をよく見かけますが、これは「過去」において、資産価格が右肩上がりで上昇してきたことを背景としているのでしょうが、これは過去の話であって、未来の話ではありません。
外国株式インデックスファンドでどんなリスクをとっているのか
海外先進国株式のインデックスファンドの内容を見るとその多くの割合が米国株に投資をしていることになります。この点は留意しておくべきでしょう。インデックスファンドに投資をしているといって自分がどんなリスクをとっているのかは知っておくべきでしょう。
世界経済の拡大ペースは日本経済の拡大ペースよりも高いという前提に立てば、世界株式を保有するということは合理的な判断といえます。
しかし、株価にはバリュエーションという株価評価があり、必ずしもファンダメンタルズが反映されているとは限りません。仮に、日本経済が1980年代後半に経験したバブルという状況であれば、株価は長期に下落することがあります。いずれにせよ、過去の株価を語るのは、車のバックミラーを見て運転するのとさして変わりがありません。
マネー編集部