4.3 在職老齢年金制度の見直しについて

2026年4月から、年金が減額される基準額(※)が、現在の月収51万円(2025年度の金額)から62万円へと引き上げられます。

これにより、働きながらでも年金を満額受給しやすくなります。

※支給停止調整額:年金を受給しながら働く方の「賃金と老齢厚生年金の合計額」がこの金額を超えると、年金の支給額が調整されます。

4.4 厚生年金の保険料・年金額計算における賃金上限の引き上げ

厚生年金などの保険料や年金額の計算に用いられる賃金の上限(※1)が、現在の月額65万円から段階的に75万円へ引き上げられます(※2)。

これにより、現役時代の賃金により見合った年金を受け取れるようになります。

※1 標準報酬月額:保険料や年金額を計算するための基準となる、月々の報酬を一定の等級に区分した額のことです。
※2 2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円へと引き上げられる予定です。

5. 申請しないともらえないお金。制度の理解が老後資金を左右する

ここまで、《老齢年金に上乗せされる給付金》や《雇用保険から支給される手当》など、シニア向けの「申請が必要なお金」について解説しました。

今回ご紹介した給付金や手当は、すべて条件を満たしていても「申請しなければ受け取れない制度」となっています。

特に、雇用保険関連の給付や年金生活者支援給付金は「知らなかった」「案内を見落としていた」といった理由で受給機会を逃してしまうケースも少なくありません。

また、2025年の年金制度改正によって、年金を受け取るシニアを取り巻く環境は変化し続けています。

この機会に、ご自身やご家族が対象になる制度がないか、ぜひ一度確認してみてはいかがでしょうか。

対象となる給付金や手当の受給により、年金生活の負担が少しでも和らぐことが期待できます。

早めに情報を確認しておくことが、将来の家計の安心へとつながるはずです。

※この記事は再編集記事です。

参考資料

筒井 亮鳳