寒さが本格的になり、体調管理に気を付けたい季節ですね。「もし、自分や家族に多額の医療費がかかったら」と不安に思う方もいるかもしれません。そんな時に家計を救ってくれるのが「高額療養費制度」ですが、今、大きな転換期を迎えています。

厚生労働省は2025年12月15日、医療費の自己負担上限額を段階的に引き上げるなどの見直し方針を専門委員会に示し、大筋で了承されました。 この新制度の施行は「来夏(2026年夏)以降」から順次となる見込みです。

「結局、いつからいくら払うことになるの?」と心配になる方も多いはず。今回は最新の専門委員会資料をもとに、変更のポイントと私たちが知っておくべき「特例」のしくみを解説します。

1. 【高額療養費制度】「家計のピンチを救う」基本のしくみとは?

高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担が高額になった際に、家計への過度な影響を防ぐための制度です。まず窓口で自己負担分を支払い、後で上限額を超えた分が払い戻されます(償還払い)。

また、入院や同一医療機関での外来診療では、支払いを自己負担限度額までとする「現物給付」のしくみもあります。この「現物給付」を利用する際、マイナ保険証を活用することで手続きが大幅に簡略化されます。従来、窓口支払いを上限額に抑えるには、事前に「限度額適用認定証」の取得・提示が必要でした。

しかし、マイナ保険証を使えば、この認定証の提示なしに、所得区分に応じた上限額が自動的に適用されます。

これにより、患者は煩雑な書類手続きなしに、スムーズに制度を利用できます。