令和8年度は国の一律給付が終わり、代わりに自治体独自の給付金や、9月に届く年金生活者支援給付金の請求書など、75歳以上の方も対象になる給付制度が話題になっています。

75歳以上の方も対象にした給付金や支援制度は、全国共通のものから自治体独自のものまで多岐にわたり、申請しないと受け取れないものもあります。

この記事では、75歳以上の方が対象になり得る代表的な給付金・支援制度を13個、元公務員で後期高齢担当だった筆者の視点で整理していきます。

1. 75歳以上向けの「給付金・支援制度」この記事の3つのポイント

  •  75歳以上向けの給付金・支援制度は多岐にわたる
  •  「全国共通の制度」と「自治体独自の制度」の2種類がある
  •  対象になり得ても、自分から申請しないと受け取れない制度が多い

2. 【給付金】75歳以上向けの制度は「全国共通」と「自治体独自」の2種類

まずは、75歳以上の方も対象になる可能性がある給付金・支援制度の全体像を整理します。

大きく分けると、日本年金機構や厚生労働省が運営する「全国共通の制度」と、市区町村が独自に設計した「自治体独自の制度」の2種類があります。

全国共通の制度は、対象要件や金額が全国どこでも同じですが、自治体独自の制度は住んでいる地域によって内容が変わります。以下では、代表的な13の制度をカテゴリ別に紹介します。

75歳以上も対象になる可能性がある給付金・支援制度13選(カテゴリ別)1/2

75歳以上向けの給付金・支援制度13選(カテゴリ別)

出所:LIMO編集部作成

3. 【給付金】年金・所得に関する制度3選

まず、年金や所得に関する全国共通の制度を3つ紹介します。

3.1 年金生活者支援給付金

基礎年金を受給している低所得の方に、年金へ上乗せして支給される給付金です。

月あたり5620円が単価となっています(令和8年度)。保険料の免除期間があれば、その分は約2倍の単価が加算されることもあるため、実際の給付額はケースごとに異なります。

9月に届く請求書を返送することで対象になります。

3.2 未支給年金

亡くなった方が受給していた年金のうち、亡くなった月分までで未払いだった分について、生計を同じくしていた遺族が受け取れる制度です。

ここでの「生計を同じくしていた」とは、必ずしも同居していた必要はなく、別居であっても生活費を援助し合っていた場合は対象になり得ます。

受け取れる遺族の順位は、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・その他3親等内親族の順で、年金機構への請求手続きが必要で、自動的には支給されません。

3.3 加給年金・振替加算

厚生年金の被保険者に、条件を満たす配偶者や子がいた場合に加算される制度です。

配偶者が65歳に達すると加給年金は打ち切られ、代わりに配偶者本人の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされる仕組みです。

4. 【給付金】医療費の負担軽減に関する制度3選

次に、医療費の負担軽減に関する全国共通の制度を3つ紹介します。

4.1 高額療養費制度

1か月あたりの医療費の自己負担額が、所得区分ごとに定められた上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。

後期高齢者医療の被保険者がマイナ保険証を利用する場合、オンライン資格確認によって限度額が自動的に反映されるため、事前の手続きなく窓口での支払いを上限額までに抑えられる仕組みになっています。

令和6年12月2日以降、「限度額適用認定証」の新規交付は終了しており、マイナ保険証をお持ちでない場合は資格確認書と併せた案内が届く運用となっています。

4.2 高額医療・高額介護合算療養費制度

1年間に支払った医療費と介護費の合計が、所得区分ごとの上限を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。

医療と介護の両方を利用している方は、対象になり得る制度です。

4.3 医療費控除・セルフメディケーション税制

1年間に支払った医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、超過分について所得税・住民税の控除を受けられる制度です。

対象となるのは治療目的の医療費が中心ですが、通院交通費や、6か月以上寝たきりで医師の証明がある場合の「おむつ代」も対象になり得ます。税務署への確定申告が必要となっています。

5. 【給付金】保険料・介護に関する制度3選

続いて、保険料や介護に関する制度を3つ紹介します。全国共通の枠組みですが、要件や適用は自治体ごとに確認が必要です。

5.1 後期高齢者医療の保険料軽減

所得が一定額以下の被保険者について、保険料の均等割額が軽減される制度です。

令和8年度は所得判定基準の見直しがあり、従来の7割軽減が7.2割軽減へと拡充されました。あわせて軽減対象の範囲も広がっており、原則として申請不要で自動適用される仕組みです。

5.2 介護保険料の減免

災害や失業など、生活を継続することが著しく困難になった場合に、介護保険料の減免を受けられる制度です。

要件や減免率は自治体ごとに異なるため、お住まいの介護保険担当窓口への確認が必要です。

5.3 介護保険の負担限度額認定

所得が一定額以下の介護保険サービス利用者について、施設入所時の食費・居住費の負担が軽減される制度です。

認定証の交付を受けて、施設に提示することで適用されます。

6. 【給付金】生活支援・自治体独自の制度4選

最後に、自治体が独自に設計している生活支援制度を4つ紹介します。金額・要件は自治体ごとに違うため、お住まいの街のホームページで確認が必要です。

6.1 高齢者物価高騰対策給付金

令和8年度は、自治体が独自に設計した高齢者向けの物価高騰対策給付金が各地で実施されています。

例えば、鹿児島県出水市では75歳以上の方に「5000円」が支給されており、8月13日から順次支給が始まっています。

給付金について、詳しくは以下の記事で解説しています。

【自治体独自の給付金】令和8年度は75歳以上に5000円・非課税世帯に1万円もらえる自治体も。あなたの街は?元自治体が話す3つの調べ方
【自治体独自の給付金】令和8年度は75歳以上に5000円・非課税世帯に1万円もらえる自治体も。あなたの街は?元自治体職員が話す3つの調べ方

6.2 敬老祝い金

一定の年齢(77歳・88歳・99歳など)に達した方へ、自治体が独自に支給する祝い金です。

金額や対象年齢は自治体ごとに大きく異なっており、数千円から数万円までの幅があります。

6.3 熱中症対策の冷房費補助

電気代の高騰を踏まえ、高齢者世帯を対象にした冷房費補助やクーポン支給を独自に実施している自治体もあります。

対象や金額は自治体ごとに違うため、夏場は特に自治体HPをチェックしておくと安心です。

6.4 家族介護慰労金

要介護4以上(自治体によっては要介護2・3以上)の高齢者を1年以上、介護保険サービスをほとんど利用せずに自宅で介護してきた家族へ、年間10万円程度を支給する自治体独自の制度です。

北九州市や世田谷区など、多くの自治体で実施されています。要件が細かく設定されているため、対象になり得る方は、市区町村の介護保険担当窓口へ確認するのが確実です。

太田 彩子

申請しないと受け取れないお金は、意外にあるものです。自治体の担当窓口やケアマネージャーさんなどに確認してみると安心です。