2025年も残りわずかとなりました。

長寿時代を迎えたなか、止まらぬ物価上昇により「日頃の家計管理」とともに「老後のお金」への関心は一層高まっています。

この記事では総務省の家計調査のデータに加え、ソニー損害保険が2025年12月10日に公表した、「2026年の家計予想・対策」に関する調査結果を交えながら、65歳以上のシニア世帯のリアルな家計事情を紐解いていきます。

1. 【65歳以上】リタイア夫婦、1カ月の生活費は「25万円超」

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみで暮らす無職世帯では、1カ月あたり約3万4000円の赤字が発生していることがわかりました。

月々の実収入の内訳:平均25万2818円

■うち社会保障給付(年金など):22万5182円

月々の支出の内訳:平均28万6877円

■うち消費支出(生活費):25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
    • うち諸雑費:2万2125円
    • うち交際費:2万3888円
    • うち仕送り金:1040円

■うち非消費支出(税金・社会保険料):3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

結果として毎月の家計収支は?

  • 3万4058円の赤字

この世帯の平均的な収入は25万2818円で、そのうち22万5182円(約9割)が公的年金などの社会保障給付によって賄われています。

一方で、支出の総額は28万6877円となっており、その内訳は、普段の生活費にあたる消費支出が25万6521円、税金や社会保険料といった非消費支出が3万356円です。

その結果、毎月3万4058円の不足が生じており、この赤字分は貯蓄を取り崩して補填しているとみられます。

ここで注意したいのは「住居費」です。平均1万6432円と低めの数値になっていますが、これは高齢者世帯では持ち家が多いことが影響しています。

賃貸住宅で暮らしている場合には、実際の家賃との差を踏まえた資金計画が欠かせないでしょう。

さらに、この支出には介護にかかる費用が含まれていない点にも留意が必要です。将来的に介護が必要になれば、赤字額はさらに増える可能性があります。