2024年、新NISA制度の開始により、「投資」というものが多くの人にとって身近なものとなりました。

かつては「難しそう」「リスクが高そう」というイメージを持って躊躇していた人も、この新制度をきっかけに投資の第一歩を踏み出しています。

特に、投資初心者には定額で長期間の積立を行う「積立投資」がブームとなっています。しかし、投資初心者にとって「毎月いくら投資すべきか」という点は、最初に当たる関門となりがちです。

金融庁が2024年に実施した調査によると、NISA口座で検討している積立投資額としては、投資経験の有無にかかわらず「月額3万円未満」を選ぶ人が過半数を占めており、多くの人が少額からのスタートを望んでいる現状がわかります。

そこで本記事では、月々の投資額による将来の資産形成への影響を具体的にシミュレーションし、同じ利回り・積立期間でも、投資額の違いがもたらす資産総額の変化を分かりやすく解説します。

自分のライフスタイルや将来設計に合った最適な投資額を見つける一助として、ぜひご活用ください。

1. 投資シミュレーション

今回は、利回り3%で15年間の積立投資を行った場合のシミュレーション結果を、3パターンの積立額を用いて見ていきます。

1.1 パターン1〜月額3万円〜

【積立条件】

  • 積立額:月額3万円
  • 積立期間:15年間
  • 平均利回り:3%

将来の運用資産額(月額3万円)2/7

将来の運用資産額(月額3万円)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

【シミュレーション結果】

  • 投資元本:540万円
  • 運用後資産額:679万円
  • 運用利益:139万円

1.2 パターン2〜月額5万円〜

【積立条件】

  • 積立額:月額5万円
  • 積立期間:15年間
  • 平均利回り:3%

将来の運用資産額(月額5万円)3/7

将来の運用資産額(月額5万円)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

【シミュレーション結果】

  • 投資元本:900万円
  • 運用後資産額:1131万円
  • 運用利益:231万円

1.3 パターン3〜月額10万円〜

【積立条件】

  • 積立額:月額10万円
  • 積立期間:15年間
  • 平均利回り:3%

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将来の運用資産額(月額10万円)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

【シミュレーション結果】

  • 投資元本:1800万円
  • 運用後資産額:2262万円
  • 運用利益:462万円

1.4 シミュレーション結果

シミュレーション結果一覧5/7

シミュレーション結果一覧

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」結果を元に筆者作成

今回のシミュレーションでは、同じ利回り・積立期間で投資月額のみを変えた場合に、最終的な資産額がどうなるかを見ていきました。

結果として、投資額を増やすことで利益も比例して増えていきますが、利益率としては変わらず、どの金額であっても25.7%です。

これは、利回り3%で15年間の複利運用をした際の利回りが25.7%となるためであり、投資額の増減によって変わることはないのです。

そのため、同じ条件で積立金額を変えた場合は、単純に投資額の増加割合分だけ利益の額も増額したものとなるのです。

2. 積立投資における利益増加のポイント

前述した通り、投資額の増額をすることで利益は投資額と比例して大きくなります。しかし、積立投資の効果を最大化するためのポイントとしては、複利の力を利用することが重要になります。複利効果は、積立投資を「長期間」行うことで大きくなっていきます。

例として、月額3万円を25年間・想定利回り3%で続けた場合をみていきましょう。投資総額は先ほどのパターン2と同じ900万円ですが、シミュレーション結果は次のように変わります。

将来の運用資産額(月額3万円・25年間)6/7

将来の運用資産額(月額3万円・25年間)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

【シミュレーション結果】

  • 投資元本:900万円
  • 運用後資産額:1330万円
  • 運用利益:430万円

同じ投資総額に対して、運用利益は約200万円もの差が出ています。このように、積立投資は長期的に行うことで、複利の力によってお金がお金を生み、雪だるま式に資産が増えていくのです。

経済市場と価格相場が連動した商品である「インデックスファンド」においては特に、長期的な投資をすることでリスクを最大限下げて、複利の力を最大限活かして資産形成をすることができるのです。

そのため、積立投資において「早く始める」ことは重要なポイントの1つです。「まだ投資をするだけの資金がないから…」「もうちょっと検討してから」と考えすぎず、毎月少額であっても「まず始める」ことも視野に入れてみましょう。

3. 新NISA制度で投資をするメリット

最後に、NISA口座のメリットを説明していきます。

3.1 投資利益が非課税

新NISA制度には「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があり、それぞれ非課税で運用することができる年額上限額と生涯上限額が決められています。

上限額までの投資であれば、どれだけの利益が出たとしても、利益に対して課税されることはありません。つまり、購入した商品の価値が上がって売却をした場合、基本的にその差額の全額を受け取ることができるのです。

NISA口座のメリット(運用益が非課税)7/7

NISA口座のメリット(運用益が非課税)

出所:金融庁「NISAを知る」

NISA制度を利用しない場合には、利益に対して約20%の税金が掛かります。例えば100万円の利益が出た場合、NISA口座であれば100万円を受け取ることができますが、その他の口座だと利益のうち20万円は税金として支払わなければいけなくなるということになため、この点は損益通算ができる他の口座と比較すると若干不利な点と言えます。

ただし、NISA口座以外での投資を行っていない人にとっては、この点は実質的な影響を及ぼさないため、心配する必要はありません。

3.2 初心者が始めやすい

新NISA制度のつみたて投資枠で購入することができる商品は、その多くが経済市場と連動した「インデックスファンド」と呼ばれるものです。

この商品の特徴として、経済市場指数と連動しているため値動きがわかりやすく、初心者でも選びやすいという点が挙げられます。

そのため、そのような商品が多い新NISA制度のつみたて投資枠での積立投資は、あまり投資に時間を掛けられない人、投資初心者でどれを選んでいいのかわからない人にとっては、安心して投資を始めやすい環境であると言えます。

3.3 「長期・分散・定額」で安定投資ができる

投資で着実に資産を増やすためには、投資先を分散させながら、長期的に毎月コツコツと定額で積み立てていくという「長期・積立・分散」の要素が重要となります。これにより、短期的な価格の変動に一喜一憂することなく、リスクを抑えながら安定したリターンを目指すことができます。

前述したように、つみたて投資枠で主流の「インデックスファンド」は経済全体の成長に連動する商品であり、一時的な下落はあっても、長い目で見れば緩やかに価値が上昇していくことが期待されます。

そのため、長期的に投資を続けるほど元本割れのリスクは低減されます。さらに、毎月定額で購入していく「ドルコスト平均法」により、価格が高いときに買いすぎる「高値掴み」を避け、冷静に投資を続けることができるのです。

4. おわりに

今回は、積立投資において月々の投資額を変えることにより比例して運用後資産額が変わる一方で、同じ投資期間であれば、「利益率」は変わらないことが、シミュレーションにより明らかになりました。

投資において複利の力を最大限に活かしたい時には、投資額の大小よりも「時間を味方につける」ことが大切です。

2024年から開始されている新NISA制度という機会を活かして、まずは少額からでも「始める」こと。それが、将来の自分の確かな資産になるはずです。

参考資料