3.2 厚生年金「標準報酬月額の上限引き上げ」影響が及ぶ高所得者層はどれくらいいる?

厚生年金の保険料計算に使う「標準報酬月額の上限」が引き上げられることになりました。

厚生年金等の保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

厚生年金等の保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

具体的には、現在の月額65万円が今後段階的に以下のように引き上げられます。

  • 2027年9月から68万円
  • 2028年9月から71万円
  • 2029年9月から75万円

標準報酬月額の段階的な引き上げは、近年の賃金水準の上昇を踏まえ、報酬をより正確に反映するために行われるものです。月収が75万円以上の人は2027年から保険料負担が増える一方、将来受け取る年金額も増えるしくみです。

たとえば75万円の報酬に該当する場合、保険料は月あたり約9,100円増える見込みとされています。その分、年金は10年加入で月額5,000円強の増加が見込まれ、負担と給付が連動する形になります。一方で、月収65万円以下の人には今回の上限引き上げによる影響はありません。

高所得者の負担増を指摘する声もありますが、社会保険料は所得控除の対象となるため、実質的な影響は人によって異なります。