4. 自分の手で「富裕層」となる新しい資産家たちの台頭も

世帯の貯蓄額は単純に年収に比例するわけではない、ということが分かりました。

貯蓄4000万円以上の世帯の平均年収は他より高いものの、その高額な貯蓄の背景には、退職金や相続といった年収以外の要素が大きく影響します。特に、「世帯主が65歳以上の世帯」では、その20.0%が4000万円以上を保有しており、ライフステージによって資産形成には差が出ます。

一方、野村総合研究所の調査(※)によると、富裕層(純金融資産(※※)1億円以上)の世帯数と資産総額は長期的に右肩上がりです。 また、近年、相続や贈与ではなく、自分自身の収入や資産運用で富裕層となる「新しい資産家」が台頭している点についても言及されています。

株価上昇の恩恵を受けた「いつの間にか富裕層」や、高収入の「スーパーパワーファミリー」などがその例で、現役世代にも「自分の手で」資産を築く可能性が広がっていることは、明るいニュースと言えるでしょう。

※ 株式会社野村総合研究所 ニュースリリース「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
※※ 世帯の純金融資産額(金融資産から負債を差し引いた金額)をもとに、超富裕層(5億円以上)、富裕層(1億円以上5億円未満)準富裕層(5000万円以上1億円未満)アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)マス層(3000万円未満)の5つのランクに分類

5. まとめにかえて

この冬のボーナスは、物価高への対応だけでなく、「長期的な資産形成の種まき」を意識してみませんか?

年収だけに頼らず、資産運用も視野に入れ、「純貯蓄額」(金融資産から負債を差し引いた金額)を確認することが、今後のマネープランの鍵となります。

ブラックフライデーでの買い物を楽しんだあと、これからやってくる年末年始のシーズンは、一年を締めくくりながら、同時に将来に向けたマネープランをじっくりと考える絶好のタイミングです。

預貯金を増やす、資産運用にトライするなど、ご家庭に合う方法で「資産づくり」を進めていってくださいね。

参考資料

6.1 【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

6.2 【ご参考】年間収入とは

総務省統計局の「家計調査」における「年間収入」とは、世帯全体の過去1年間の収入(税込み収入)です。以下1~6の収入の合計金額となっています。
1. 勤め先収入(定期収入、賞与等)
2. 営業年間利益(原材料費、人件費、営業上の諸経費等を除く。)
3. 内職年間収入(材料費等を除く。)
4. 公的年金・恩給、農林漁業収入(農機具等の材料費、営業上の諸経費等を除く。)
5. その他の年間収入(預貯金利子、仕送り金、家賃収入等)
6. 現物消費の見積り額