この記事では、大学卒業後、22歳~60歳までの38年間、平均年収500万円で働いた人が将来受け取る「厚生年金+国民年金」の年金額を試算します。

現行制度における計算式にもとづいた試算となりますが、老後対策の参考にご覧ください。

1. 【厚生年金】受給額は現役時代の年金加入期間や年収が影響

日本の公的年金制度は「1階:国民年金(基礎年金)」と「2階:厚生年金」による2階建て構造になっています。

現役時代に厚生年金に加入して働いていた人は、老後に国民年金(基礎年金)に加えて厚生年金を受給できます。

【写真全7枚1枚目】公的年金の仕組みとは? 2枚目以降で、厚生年金の計算式や【厚生年金】年金月額階級ごとの受給権者数を確認する1/4

公的年金の仕組みとは?

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

国民年金は、保険料納付済期間、厚生年金は給与や賞与などの報酬に応じて決まる保険料や年金加入期間により計算されます。詳しい計算式は、次章で解説します。

では、老後に公的年金(国民年金+厚生年金)をどのくらい受け取ることができるのか。以下のケースでシミュレーションしてみましょう。

  • 就職年齢:22歳0ヶ月
  • 退職年齢:60歳
  • 勤務年数:38年
  • 平均年収:500万円
  • 加入年月:2003年4月
  • 終了期間:2041年4月

2. 【厚生年金+国民年金】大卒後、60歳まで「平均年収500万円」の人が受け取る年金額はいくら?

シミュレーションの結果、平均年収500万円・勤続年数38年の人が受け取る厚生年金は、国民年金を含め月額約16万6200円となりました。

2.1 厚生年金の受給額の計算式

厚生年金受給額の計算式2/4

厚生年金受給額の計算式

出所:日本年金機構「は行 報酬比例部分」をもとにLIMO編集部作成

報酬比例部分= A + B

A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数

B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

報酬比例部分(従前額)=( A + B )× 1.061

A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.5/1000×2003年3月までの加入期間の月数

B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.769/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

どちらかの式によって算出されます。また加入の時期によって計算式が異なるため、ここでは2003年4月以降に加入したとして試算します。

2.2 試算条件

  • 年収500万円から平均標準報酬額は41万6700円とする
  • 2003年4月以降に厚生年金に38年間加入した
  • 国民年金は40年間未納なし
  • 配偶者や扶養家族はいない

2.3 厚生年金額をシミュレーション

老齢厚生年金額=116万3000円

さらに老齢基礎年金(国民年金)の満額約83万1700円を足すと、合計で約199万4700円となります。

月額にすると約16万6200円です。

実際には38年間を通して年収500万円であるケースはまれですが、一つの目安となるでしょう。

※昭和21年4月1日以前に生まれた方については、給付乗率が異なります。

※年収÷12で仮の平均標準報酬月額を算出しています。実際には「平均標準報酬月額」「平均標準報酬額」を用いるため、厳密には年収と異なります。

※あくまでも概算のため、実際の受給額とは異なるケースがあります。

※老齢基礎年金は2025年度新規裁定者の基準額です。

3. 【厚生年金+国民年金】「月額16万円以上」受給している人の割合は?

厚生年金(国民年金を含む)を月額16万円以上受給している高齢者はどれほどいるのでしょうか。

厚生労働省の資料から見ていきましょう。

3.1 厚生年金月額ごとの受給者数

【厚生年金】年金月額階級ごとの受給権者数3/4

【厚生年金】年金月額階級ごとの受給権者数

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 1万円未満:6万1358人
  • 1万円以上~2万円未満:1万5728人
  • 2万円以上~3万円未満:5万4921人
  • 3万円以上~4万円未満:9万5172人
  • 4万円以上~5万円未満:10万2402人
  • 5万円以上~6万円未満:15万2773人
  • 6万円以上~7万円未満:41万1749人
  • 7万円以上~8万円未満:68万7473人
  • 8万円以上~9万円未満:92万8511人
  • 9万円以上~10万円未満:112万3972人
  • 10万円以上~11万円未満:112万7493人
  • 11万円以上~12万円未満:103万4254人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5662人
  • 13万円以上~14万円未満:92万5503人
  • 14万円以上~15万円未満:95万3156人
  • 15万円以上~16万円未満:99万4044人
  • 16万円以上~17万円未満:104万730人
  • 17万円以上~18万円未満:105万8410人
  • 18万円以上~19万円未満:101万554人
  • 19万円以上~20万円未満:90万9998人
  • 20万円以上~21万円未満:75万9086人
  • 21万円以上~22万円未満:56万9206人
  • 22万円以上~23万円未満:38万3582人
  • 23万円以上~24万円未満:25万3529人
  • 24万円以上~25万円未満:16万6281人
  • 25万円以上~26万円未満:10万2291人
  • 26万円以上~27万円未満:5万9766人
  • 27万円以上~28万円未満:3万3463人
  • 28万円以上~29万円未満:1万5793人
  • 29万円以上~30万円未満:7351人
  • 30万円以上~:1万2490人

3.2 厚生年金月額ごとの受給者数

16万円以上~17万円未満に属する人は102万6399人です。

また、16万円以上の厚生年金を受給している人は665万6990人。割合にすると41.5%です。

約40%の方は受給できていますが、男女別にみると男性が59.1%、女性が7.1%です。

そもそも厚生年金に加入して働き続ける女性が少なかった時代なので、こうした男女差があるのは仕方のない側面もあります。

今後は徐々に解消されていくと考えられます。

4. 老後の年金から税金や保険料が引かれることも押さえておこう

この記事では大学卒業後、60歳で定年退職するまでの期間、平均年収500万円で働いた場合、65歳から年金をどれくらい受けとれるかを試算しました。

あくまでも現時点の試算です。

また、老後の年金からも税金や保険料が引かれることも押さえておきましょう。

金額は、年金やその他の所得、住んでいる地域や家族構成等により決まりますが、所得税・住民税・健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療保険料)・介護保険料が引かれます。

ねんきん定期便やねんきんネットで確認できる見込額等は「額面」である点に留意しておきましょう。

4.1 ご参考:国民年金の受給額

【国民年金】年金月額階級ごとの受給権者数4/4

【国民年金】年金月額階級ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 1万円未満:5万8811人
  • 1万円以上~2万円未満:24万5852人
  • 2万円以上~3万円未満:78万8047人
  • 3万円以上~4万円未満:236万5373人
  • 4万円以上~5万円未満:431万5062人
  • 5万円以上~6万円未満:743万2768人
  • 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 7万円以上~:227万3098人

 

参考資料