4. 年金だけでは“3割負担回避”にはならない

多くの75歳以上の方にとって、主な収入源は年金ですが、「年金だけをもらっている=医療費の自己負担が1割または2割になる」とは限りません。

医療費の自己負担割合の判定は、年金収入に加えて給与や不動産、配当などの「その他所得」を合算して行われます。

年金収入が少なくても、その他の所得が増えることで、合計所得が基準を超えて2割や3割負担に上がるケースも考えられるため、ボーダーライン上にある方は注意が必要です。

「その他の所得」には、所得控除などを差し引く前の収入源として、次のようなものが含まれます。

  • 給与収入(パート・アルバイト・再雇用など)
  • 事業収入(個人事業主・自営業など)
  • 配当所得(株式・投資信託など)
  • 不動産所得(賃貸収入など)

【重要】 上記の収入から必要経費や給与所得控除などを差し引いた後の金額が「所得金額」となり、この所得金額(課税所得)が、現役並み所得者(3割負担)を判定する際の重要な基準となります。

つまり、年金に加えて何らかの副収入がある場合、その分だけ合計所得が増え、医療費負担が2割や3割に上がる可能性があるのです。

制度の仕組みを正しく理解しておくことが、思わぬ負担増を防ぎます。