2026年が幕を開けましたが、物価高の影響もあり「今年こそ家計をしっかり見直したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、総務省の最新調査をもとに、65歳以上夫婦のリアルな家計収支や貯蓄事情、そして今のシニア世代が実践している「賢い資産の守り方」について詳しく解説します。
1. 【65歳以上】年金暮らし夫婦「暮らしは赤字?黒字?」エンゲル係数は約29%
総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見ていきます。
1.1 【家計収支】65歳以上の夫婦のみの無職世帯(2024年)
収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- うち諸雑費:2万2125円
- うち交際費:2万3888円
- うち仕送り金:1040円
■うち非消費支出:3万356円
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
家計収支
- ひと月の赤字:3万4058円
- エンゲル係数:29.8%
- 平均消費性向:115.3%
この夫婦世帯の家計は、総収入25万2818円に対し、総支出が28万6877円と上回っており、毎月3万4058円の赤字が生じています。
収入の約9割を公的年金などの社会保障給付(22万5182円)が占めていますが、可処分所得のすべてを生活費に充てても足りない状況です(平均消費性向115.3%)。
そのため、不足分は貯蓄を取り崩してカバーしているのが実情です。
2. 【65歳以上】年金暮らし世帯「平均貯蓄額」少しずつ増加傾向?
総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-」から、65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯)の貯蓄平均額に関するデータを見ていきます。
2019年から2024年の推移や資産の内訳に着目してみましょう。
2.1 世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別現在高の推移(二人以上の世帯)
2024年における「世帯主が65歳以上の無職世帯」の貯蓄の平均貯蓄額は、2560万円でした。
2019年からの推移を見ると
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
- 2024年:2560万円
世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄額は、5年間で300万円以上増加しています。その「中身」の変化にも着目してみましょう。
2.2 65歳以上の無職世帯《資産の内訳》の変化
65歳以上の無職世帯(二人以上世帯)の「資産の内訳」について、2019年と2024年を比べてみましょう。
通貨性預貯金
※主に普通預金
- 金額:+258万円(543万円→801万円)
定期性預貯金
※定額貯金、積立貯金、定期預金、定期積金など
- 金額:▲82万円減(941万円→859万円)
生命保険など
※民間保険会社が販売する積立型の生命保険、損害保険(積立型)、農業協同組合などが取り扱う各種共済、郵便局で取り扱う簡易保険(保険商品、年金商品)など。なお、掛け捨ての生命保険は含まれない。
- 金額:+25万円(369万円→394万円)
有価証券
※株式や有価証券など
- 金額:+144万円(357万円→501万円)
金融機関外
※社内預金、勤め先の共済組合への預金など
- 金額:▲2万円減(8万円→6万円)
合計
- 金額:+342万円(2218万円→2560万円)
資産の内訳の変化からは、2つの大きな動きが読み取れます。
ひとつめは「お金の置き場所」の変化です。「通貨性預貯金」が大きく増えた一方で「定期性預貯金」が減少しているのは、超低金利下で資産を固定する魅力が薄れ、流動性を重視する意識が高まった結果と考えられます。
ふたつめは「貯蓄から投資へ」という流れです。「有価証券」が4割以上も増加している点からは、インフレに備えながら資産寿命を延ばすために、リスクを取りつつも積極的な資産運用に乗り出すシニア層の姿がうかがえます。
安全性の高い預貯金をベースとして、一部を投資に回すなど、老後資産の管理に、単に「貯める」だけでなく「賢く育て、活用する」視点を持つ人が増えていることも推測できます。
ただし、上記のデータはあくまで平均的な世帯の姿です。実際の貯蓄事情は、定年退職金の有無、相続、家族の健康状態など様々な要因に大きく左右されます。
現役時代の年収や貯蓄と同様に、老後の資産や年金額もまた、人それぞれ個人差が大きいのが現実です。
3. 【60歳以上】国民年金・厚生年金「平均年金月額はいくらぐらい?」
60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」についても見ていきます。
3.1 「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
受給額分布(1万円刻み)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金では、全体の平均年金月額は15万289円という結果でした。男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。
3.2 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどですが男女差が見られます。
「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
4. まとめにかえて
ここまで今のシニア世代の家計収支や年金額などについて詳しく見てきました。これを見ると現役世代の方々も老後の生活のイメージがつくのではないでしょうか。
しかし、昨今の物価上昇が今後も続くと考えると今よりもより老後の生活費が高騰する可能性が考えられます。
このようなことから現役世代の方は今のうちから老後の生活資金を用意する必要がありますが最近では新NISAやiDeCoのような資産運用を活用して効率的に用意するという方も増えてきていますのでまずは自分自身で詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
筒井 亮鳳