4. 地域差・所得差がもたらす“保険料の幅”

ご紹介してきたように、国保も介護保険料も、地域差・所得差によってかなりの開きがあるのが現状です。

実際どのくらい差があるのか、詳しく見ていきましょう。

4.1 介護保険料の地域差

介護保険料は各市区町村が独自に設定しているため、地域によっては2倍以上の開きがあるのが現実です。

以下は現在(9期)の介護保険料基準額が低い/高い自治体の上位を紹介したものです。

保険料基準額が低額な保険者としては、東京都 小笠原村の3374円が最も低く示されています。

これに続き、北海道 音威子府村と群馬県 草津町が3600円で示されています。

その他の主な低額保険者は以下の通りです。

• 宮城県 大河原町:4000円
• 北海道 根室市:4300円
• 北海道 深川市:4300円
• 北海道 登別市:4300円
• 埼玉県 鳩山町:4300円
• 千葉県 栄町:4300円
• 高知県 津野町:4450円
• 北海道 芦別市、奥尻町、置戸町、佐呂間町、山形県 大江町、岐阜県 八百津町:いずれも4500円

一方、保険料基準額が高額な保険者としては、大阪府 大阪市が9249円で最も高額な例として示されています。

次に高額なのは、大阪府 守口市(8970円)、大阪府 門真市(8749円)が続きます。

その他の主な高額保険者は以下の通りです。

• 岩手県 西和賀町:8100円
• 青森県 七戸町:7900円
• 東京都 檜原村:7900円
• 大阪府 松原市:7880円
• 青森県 東北町、東通村、秋田県 藤里町、千葉県 鋸南町、東京都 青ヶ島村、奈良県 天川村、和歌山県 御坊市、高知県 芸西村、青森県 六ヶ所村、福島県 三島町、双葉町、群馬県 川場村、三重県 大台町:概ね7600円〜7800円台

最も高い自治体では月額9000円を超える一方、最も低い自治体では3000円台前半にとどまります。

このような差が出るのは、地域の人口構造・財政状況・サービス体制が複雑に絡み合った結果といえます。今後も地方では上昇傾向が続くとみられ、自治体間の差はさらに拡大する可能性があります。

4.2 国民保険料は所得差によって決まる

国保料も自治体の所得段階の設定により差が生じます。

ここでは例として、令和7年の新宿区のケース(給与/年金のみの場合)をご紹介します。

令和7年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)

出所:新宿区「令和7年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)」

たとえば、年金収入のみのケースでは、年金収入300万円(年金所得190万円)で65歳以上(介護分なし)の場合、保険料は1万8082円と算出される一方、年金収入150万円(年金所得40万円)では5342円となります。

前年の収入によって保険料が決まるため、離職して無職になった場合などでも支払う必要があることに注意が必要です。

自治体は地域の高齢化状況や予算負担によって基準額を定めています。

したがって、65歳時点で「自分が住んでいる市区町村ではどれくらいか」を確認することが重要となってくるのです。