少子化が進む中、これまで守ってきた先祖代々のお墓をどうするか、悩むご家庭も多いはず。
夫婦ともに一人っ子でそれぞれの実家の墓を引き継ぐ人も増えていくでしょう。さらにその子どもが一人っ子だった場合、将来的には一人で複数の家のお墓の管理をすることになるわけで……。
そこで「墓じまい」が頭をよぎることは不思議ではありません。
「墓じまいにはどのくらいお金がかかるんだろう?」「墓じまいした後、お骨はどうする?」
墓じまい、そして新しい供養の形を検討する人はぜひ知りたいですよね。今回は「墓じまいとは何か」を簡単に説明した後に、「墓じまいにかかる費用」「新しい供養の形、それぞれに費用と特色」を整理してみたいと思います。
1. 墓じまいとは
墓じまいとは現在のお墓を解体して更地にし、その使用権を墓地の管理者に返還すること。
また、墓じまいをした後は、お寺などで永代供養してもらうか、のちほど触れる新しい供養の形で供養することが一般的です。
少子高齢化や核家族化、お墓に対する価値観の多様化を背景に、近年では墓じまいを検討する人が増えています。
事実、厚生労働省の「衛生行政報告書」によると、2022年度の全国の改葬件数は過去最高の約15万件もありました。また、この約15万件という数字は、1998年度の2倍を超える件数です。
1.1 【一覧表】2022年の改葬件数は過去最高の15万件超
【グラフ1】改葬件数の推移を見る
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出所:衛生行政報告例(e-stat)をもとに筆者作成
- 1998(平成10)年:7万263件
- 2003(平成15)年:6万8579件
- 2008(平成20)年:7万2483件
- 2013(平成25)年 :8万8397件
- 2018(平成30)年 :11万5384件
- 2019(令和元) 年:12万4346件
- 2020(令和2)年:11万7772件
- 2021(令和3)年:11万8975件
- 2022(令和4)年 15万1076件
このデータから、墓じまいを行っている人が年々増えていることがうかがえます。
2. 墓じまいの費用が気になる!
墓じまいにかかる費用は、「お墓の撤去にかかる費用」「行政手続きに関する費用」「新しい供養先にかかる費用」の3つに大きく分けられます。
それぞれにかかる費用の目安は以下の通りです(※各種資料をもとに筆者計算)。お墓の撤去と新しい供養先にまとまった費用がかかることが分かります。
2.1 墓じまいにかかる費用の目安
- お墓の撤去にかかる費用 20万~50万円程度
- 行政手続きに関する費用 数百円~1500円程度
- 新しい供養先にかかる費用 5000~300万円程度
ただし、墓じまいにかかる費用総額は、移転元や改葬先となるお墓のスタイル、お墓の移転方法などにより変わってきます。改葬先の墓所の管理者(霊園・お寺など)としっかり相談しましょう。
また、お墓の引っ越しを知らせたところお寺から高額な離壇料を請求されたというトラブルも、国民生活センターには寄せられています。
3. 墓じまい後の「お骨」をどうする?「新しい供養の形」特色と費用
墓じまいをした後、お骨をどのように供養する方法があるのか、その費用はいくらかかるのかは墓じまいすることを決める前にしっかりと確認しましょう。
ここからは、新しい供養の形について、それぞれの特色と費用を紹介します。
新しい供養の形には、以下のような種類があります。
- 散骨
- 小さな骨壺に入れて自宅で保管する
- ペンダントなどのアクセサリーに加工する
- 樹木葬
3.1 散骨
新しい供養のスタイルのひとつ「海洋散骨」(写真はイメージです)2/2
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散骨とは、海などに遺骨を撒いて自然にかえすという、近年人気が高まっている供養の方法です。海に散骨する場合は、海水浴場や漁場などに撒くことはできません。
専門の散骨業者に依頼し、船をチャーターし、漁場に影響を与えない沖合まで船で行き、散骨します。また、散骨をする際には、遺骨を2mm以下のパウダー状にする必要があります。
そのままの形で遺骨を撒いてしまうと、何らかの犯罪に巻き込まれた場合と区別がつかなくなり、最悪の場合、死体遺棄罪で罰せられる可能性があるからです。
この粉骨する作業は専門業者に依頼するのが一般的です。散骨にかかる費用をまとめると以下の表のとおりです(※各種資料をもとに筆者計算)。
- 船のチャーター費用 ご自身で散骨する場合 10万~50万円程度
- 業者に散骨してもらう場合 5万円程度
- 粉骨する費用 2万円程度
3.2 小さな骨壺に入れて自宅で保管する
小さな骨壺に入れて自宅で保管するという供養方法もあります。
お墓に納骨する骨壺は両手で抱えるほどの大きさがあるため、そのままのサイズで自宅に置くのは抵抗があるでしょう。
そこで、遺骨の一部、もしくは粉骨して軽量化をはかり、小さな骨壺に入れます。そして、リビングや寝室などに位牌や故人の写真と共に飾るという方法も。
小さな骨壺に入れて自宅で保管する供養の費用は以下の通りです(※参考:各種資料をもとに筆者計算)。
- 骨壺代(粉骨などの費用を含む) 5000円~3万円程度
4. 新しい供養のカタチ「遺骨の一部をアクセサリーに加工」
4.1 ペンダントなどのアクセサリーに加工する
ペンダントなどのアクセサリーに加工するという供養方法もあります。
粉骨したご遺骨の一部を、ペンダントやブレスレット、指輪に入れて身に着ける方法です。最近では人工ダイアモンドに加工するなど、選択肢も広がってきています。
「常に故人を身近に感じたい」と思う方には嬉しい供養方法ですね。ペンダントなどのアクセサリーに加工する供養の費用は以下の通りです。
遺灰を加工するかどうかで費用に大きな差が生まれます。
- 遺灰を入れるタイプのアクセサリー 1~3万円程度
- 遺灰を人口ダイアモンドに加工したアクセサリー 45~300万円程度
4.2 樹木葬
樹木葬とは、墓石の代わりにシンボルツリーを墓標とし、遺骨を骨壺に入れて木の下に埋葬したり、粉骨して木の根元に撒く供養方法です。
桜やハナミズキなど花が楽しめる木が人気ですが、クスノキなどの常緑樹を植えているところもあります。
また、樹木葬は一般的に永代供養であるため、お寺や霊園が管理をしてくれるので、お墓を継ぐ人がいなくても安心して選べる方法です。
樹木葬の費用は以下の通りであり、埋葬方法によって多少値段が異なります(※各種資料をもとに筆者計算)。
- 合祀型(複数の遺骨を同じ区画に埋葬) 5万~20万円程度
- 個人型(一人ひとりに設けられた区画に埋葬) 15万~60万円程度
- 家族型(家族や友人専用の区画に埋葬) 20万~30万円程度
5. まとめにかえて
今回は墓じまいにかかる費用や、新しい供養の形などの費用と特色を整理していきました。
墓じまいをし、新しい供養の形をとることを検討している人にとって、お金の問題は必ず考えなければならない問題です。かかる費用を知り、あらかじめ誰がどの割合で費用を負担するか決めておくことが大切です。
具体的な手続きについては自治体や、墓地の管理者により決まりが異なる可能性があるので確認が必要です。
さらにたいせつなのは、墓じまいにあたり親族たちの同意をもらうということ。長い間守られてきたご先祖様のお墓をしまう場合などは、地域の習慣やゆかりのある人々の意見にしっかりと耳を傾けながら、みんなが納得できる墓じまいできれば理想的ですね。
参考資料
- 衛生行政報告例/平成10年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/平成15年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/平成20年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/平成25年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/平成30年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/令和元年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/令和2年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/令和3年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 衛生行政報告例/令和4年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
- 独立行政法人国民生活センター「墓を引っ越しする」と言ったら、寺から高額な費用を要求された
吉沢 良子