近年は、古くから守ってきたお墓を通いやすい場所に移動させたり、永代供養にしたり、墓じまいの動きが活発です。
しかし、先祖代々守ってきたお墓に手を加えるのは、様々な問題が付きまとうもの。
今回は、「墓じまいのトラブル あるある4選」を、元葬儀会社社員に聞いてみました。
1. あるあるその1:予想外に費用が高かった!
墓じまいを考える場合に、お墓の移動または撤去は、ほぼ確実に必要な項目です。
ひいきにしている石材店がある場合は別ですが、そうでなければ複数の石材店に見積もりを依頼して、墓じまいに取り掛かることをおすすめします。
石材店によって、墓じまいにかかる費用が異なるからです。お墓を移動・撤去させるにあたり、まずは見積もりを出してもらいましょう。
人力で行うのか、機械を使うのか、また撤去したお墓をどこに処分するのか、交通費は必要なのか等、石材店によって対応・金額が異なります。
それぞれの石材店の見積もりをきちんと確認して、納得がいくお店に依頼しましょう。
墓じまいは、取り出したお骨をどのように供養するかにもよりますが、お金がかかることは間違いありません。なるべくは費用をおさえたいですよね。
ただし、他社と比較してべらぼうに安い見積もりは、お骨を雑に扱われる可能性も考えられます。しっかりと見極めて、信頼のおける石材店に依頼しましょう。
2. あるあるその2:見積もりした石材店が敷地に入れない!
墓地や寺院によっては、契約した石材店としか取引をしないところがあります。そして、その契約がすべての人にわかりやすく提示されているとは限りません。
解体する工事に入ろうとした直前で指摘を受け、工事を中止にせざるを得ないこともあります。
そうなってしまうと、改めて指定の石材店にお願いし、工事を始めるほかありません。せっかく見積もりをして安い価格でお願いしたのに、思惑通りにならず費用がかかってしまった、という事例も実際にありました。
墓じまいを考えているのであれば、お墓を管理している団体に指定の石材店があるのかどうか、確認を取ることからはじめましょう。
3. あるあるその3:誰のだかわからない遺骨が出てきた!
続いては、古いお墓にありがちなトラブルです。
たいていのお墓には、そこに祀られているのが誰なのかわかるように、墓石や骨壺の内側等に名前が書かれています。
しかし、古すぎるお墓は、墓石の文字がかすれてしまって読めないことも。
また、昔は出生自体を隠されていた人や、例えば居候や内縁関係など、何かしらの原因があって正式な親族と認められなかった人も少なからず存在しました。
そのような人がお墓に一緒に入っているケースも、実際にはあります。名前がわからない場合、手元に家系図があれば、家系図でチェックしていきましょう。
もしくは、お仏壇に先祖の名前を記してある過去帳や位牌があれば、それらを確認します。それでも誰だかわからないときは、菩提寺に聞いてみましょう。
檀家の名前、葬儀の記録が残っている可能性が高いので、判明する可能性があります。
お墓に入っているのが誰だかわからないからといって、ないがしろに扱ってはいけません。誰だかわからなくとも、祖先として関係のある大切な人に変わりはないのですから、丁寧にお祀りしましょう。
江戸時代や明治時代からのお墓がたくさんあって、それぞれを祀り切れないという際には、供養塔を建てて1カ所にお祀りするのも一案です。