葬式・法事は、亡くなった方を供養するための大切な行事です。それと同時に、残された遺族の気持ちを整理する場でもあります。

しかし、葬式も法事も、多くの方にとって非日常の行事であるため、何かとトラブルも発生しやすいのが実情です。

また近年は「墓じまい」がブームになるほどお墓に関する関心が高まっていますが、どのようにお墓を立てるのか、墓じまいをするのか、一般人には難しい問題ですよね。

今回は、元葬儀会社社員の葬祭ディレクターに聞いた、お墓・葬式・法事のトラブル3例を紹介します。よくあるトラブルを知っておくと、いざという時のために備えることが可能です。

1. あるあるトラブル その1【宗教】宗派がわからない!

実家の「宗派」って知っていますか?

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日本のお葬式の大多数を占めるのが仏教式ということは、みなさんの多くがご存じでしょう。

ここで頻繁に遭遇するのが「自分の家の宗派・菩提寺がわからない」というケース。

近年は葬儀の簡素化により、この檀家制度が崩壊しつつありますが、葬儀は所属する菩提寺にお願いするのが従来の常識なのですが……。

親もしくは祖父母が若い頃に引っ越してきて、それ以来葬儀も法事もしたことがない、という喪家では、宗派すらわからないというケースは結構あるのです。

「仏教なのは間違いないけれど、真言宗だったかな、日蓮宗だったかな、そもそも宗派の違いって何?」というところからスタートするおたくも。

それまで関係のなかったお寺に気軽に葬儀をお願いするのは、葬儀社が勝手にテリトリーを荒らすようなもの。喪家にとって、今後のお寺とのお付き合いを考えたときに、決して良いものではありません。

葬祭ディレクターは、おうちのお仏壇をチェックしたり、親戚に確認してもらったり、お経のフレーズを口ずさんだりして、どうにかして宗派・菩提寺を特定していくこともあります。

菩提寺に葬儀をお願いすることは、とてもたいせつです。葬儀の簡素化により、「一見さん」として葬儀をお願いされる喪家も増えてきましたが、葬儀社は慎重に慎重を重ねて、一見さんとしてのお願いが可能かどうかを判断します。

場合によっては、檀家を外されてしまうようなトラブルになりかねないからです。