SBIインシュアランスグループが、50歳以上の男女1069名を対象として実施した終活に関する調査によると、80.9%の人が終活の必要性を感じていると回答。すでに取り組んでいることや気になっていることのトップは「物の整理・片づけ」でした。

終活の一環として、自分自身が入るお墓の準備を意識する人もいるでしょう。一方で、すでにある先祖代々のお墓をどうするかが大きな課題となっているご家庭も少なくないはずです。

とはいえお墓はその性格上、簡単に「断捨離」を行えるようなものではありません。しかるべき手順や、注意点を知っておきたいものです。

1. 夫婦で実家の墓を継いだが、一人息子の負担になりそう

住宅地とは異なり、購入したお墓は不動産登記の対象ではありません。お墓の使用権を持つ人が維持管理費を支払い続けていくものになります。

先祖代々のお墓を引き継いだ、もしくは引き継ぐ予定の人の中には、「遠方で気軽にお墓参りができない」「この先、管理費用が負担になりそう」「お墓の跡継ぎがいない」などと悩むケースもあるでしょう。

少子化が進むいま。一人っ子同士が結婚し、その子どもがまた一人っ子となるケースは珍しくありません。夫婦がそれぞれの実家の墓守を任されていた場合、我が子への負担を考えると「墓じまい」という選択肢に行きつくことは決して不思議ではないでしょう。

「墓じまい」とは、墓石や墓所を更地にして管理者に返すこと。一般的には、そのあと別の供養に移す「改葬」までを含めて墓じまいと呼ばれることが多いですね。

いまのお墓をいったん「しまって」、関係者が通いやすい場所にお墓を引っ越ししたり、永代供養ができる合同墓地や納骨堂、自然葬(散骨や樹木葬)など、改葬先の選択肢は様々です。

1.1 改葬件数「2022年は過去最高に」

【グラフ1】改葬件数は1998年の2倍以上に

【グラフ1】改葬件数の推移

出所:衛生行政報告例(e-stat)をもとに筆者作成

  • 1998(平成10)年 7万263件
  • 2003(平成15)年 6万8579件
  • 2008(平成20)年7万2483件
  • 2013(平成25)年 8万8397件
  • 2018(平成30)年 11万5384件
  • 2019(令和元) 年12万4346件
  • 2020(令和2)年 11万7772件
  • 2021(令和3)年 11万8975件
  • 2022(令和4)年 15万1076件

厚生労働省が2023年10月に公表した「令和4年度衛生行政報告例」によると、2022年度の全国の改葬件数は過去最高の15万1076件に。この四半世紀の間に倍増しているのです。