2. 「墓じまい前提」でお墓を買う人も

近年増える「墓じまい」に関する意識調査の結果も見てみましょう。

2.1 【グラフ2】七回忌までで「墓じまい」派も27.8%

【グラフ2】お墓はいつまで使う?

全国石製品協同組合(全石協)の調査結果によると、お墓の購入予定者の48.9%が「七回忌まで」「三十三回忌まで」というように、お墓の使用期限を前もって考えている、つまり「墓じまい前提」であることが分かりました。

また、みんなが選ぶお墓のスタイルにも一定の傾向が見られます。

鎌倉新書が2023年3月に公表した「第14回 お墓の消費者全国実態調査(2023年)」によると、購入されたお墓の種類別で最も多かったのは「樹木葬(51.8%)」、次いで「納骨堂(20.2%)」。つまり、跡継ぎが要らない供養のスタイルに注目する人が多いのです。

3. 墓じまいってお金がかかるの?

【グラフ3】改葬・墓じまいにかかった費用はどのくらい?

墓じまいを検討しているものの、費用がどのくらいかかるか心配だという人も多いでしょう。

鎌倉新書の調査では、改葬・墓じまい費用は「50万円以内」が40.8%、「51万円以上」が31.6%というデータが出ています。費用の主な内訳についても知っておきましょう。

【墓じまいにかかる費用】移転元での主な内訳

  • 必要書類の発行手数料
  • 墓石の撤去処分、区画整備代(墓じまいの場合)
  • 遺骨の取り出し費用
  • お布施代
  • 離檀料(檀家だった場合)
  • 墓石運搬費用(移転先で使用する場合)

【墓じまいにかかる費用】移転先での主な内訳

  • 永代使用料、事務手数料
  • 新しい墓石代(新しい石碑を建てる場合)
  • 建墓の基礎工事、据付工事費用
  • 埋葬費用
  • お布施代
  • 入檀料(移転先が寺院だった場合)

墓じまいにかかる費用総額は、移転元や改葬先となるお墓のスタイル、お墓の移転の方法などにより異なります。特に改葬先の墓所の管理者(霊園・お寺など)と相談することが大切です。

ちなみに、国民生活センターには、お墓の移転を知らせたところ、お寺から請求された離壇料が高額だったというトラブルも報告されています。

心穏やかに墓じまいが進むケースばかりではない点も、知っておきたいところですね。

4. まとめにかえて

墓じまいに伴う改葬を行う際には、自治体が発行する改葬許可証などが必要となります。具体的なルールは自治体やお墓を管理する団体に確認しましょう。

家族や地域が大切にしてきた慣習を尊重しながら、関係者の合意を得たうえで、心を込めて墓じまいを進めていけたら理想的。ゆかりのある人たちの中に禍根を残すようなトラブルは、避けたいものですね。

参考資料

吉沢 良子