4. 住民税非課税世帯が受けられる恩恵

住民税非課税世帯が受けられる恩恵には、さまざまなものがあります。

  • 国民健康保険料の軽減
  • 住民税非課税世帯向けの物価高支援の給付金
  • 医療費の自己負担限度額の緩和
  • 介護保険料の軽減

なかでも、医療費の自己負担限度額は影響が大きいものです。医療費の自己負担限度額は、70歳以上と69歳以下とで負担する金額が変わります。この記事では、70歳以上を例に見てみましょう。

医療費の自己負担限度額(世帯)

医療費の自己負担限度額

出所:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をもとに筆者作成

70歳以上世帯ごとの自己負担限度額「外来・入院」

  • 年収約1160万円〜:25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
  • 年収約770万円~約1160万円:16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
  • 年収約370万円~約770万円:8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
  • 年収156万~約370万円:5万7600円
    ※個人・外来は18000円、年間14万4000円
  • 住民税非課税世帯:2万4600円
    ※個人・外来は8000円
  • 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など):1万5000円
    ※個人・外来は8000円

住民税非課税世帯の場合は原則2万4600円、年金収入80万円以下なら1万5000円で済みます。課税世帯は5万7600円と2倍以上の金額を自己負担するため、非課税世帯の負担額の少なさが際立ちます。

医療費の自己負担限度額を超えると、高額療養費制度により、超えた分がすべて払い戻されます。非課税世帯は自己負担限度額が課税世帯よりも低いため払い戻しを受けやすく、収入が多くなくても安心して医療を受けられるのです。

医療費の自己負担限度額については、昨年に見直しを予定していましたが、各団体の反対を受けて見送られ、今秋までに再度方針を決定する見込となっています。今後の動きには注視が必要です。