3. シニアの終活、エンディングノートを持っている70歳代以上は約2割
長寿化が進むいま、老後や自分亡きあとを見据える「終活」への意識も高まっています。
2025年7月、NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が公表した「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】」によると、20~89歳の男女2052名のうち、「終活」という言葉を聞いたことがある人の割合は実に96.2%。
2009年に初めて登場したとされる「終活」という言葉が、完全に社会に根付いたことが示されています。
一方で、依然として終活に対しするイメージは「亡くなったときのための準備」というマイナス面が根強く、70歳代以上でも70%がこのイメージを持っています。
「人生の後半期を生き生きと過ごすための準備」と捉える人の割合は高くなってはいるものの、ネガティブなイメージを上回るまでには至っていないようです。
3.1 終活の実行は、まずエンディングノートから
老後資金の計画から、具体的な終活の行動へと移行するため、ぜひ知っておきたいのがエンディングノートです。
同報告書では、「エンディングノート」をという言葉を聞いたことがある人は全体の84.3%。しかし、実際の「行動」となると、世代によって大きな差が見られます。エンディングノートを「持っている」割合、そのうち「書いている」割合を年齢別に見てみましょう。
【年代別】エンディングノート「認知度・所有率・実行率」
- 20歳代
- 聞いたことがある:60.7%
- 持っている:6.3%
- 書いている:92.2%
- 30歳代
- 聞いたことがある:74.1%
- 持っている:5.2%
- 書いている:76.9%
- 40歳代
- 聞いたことがある:85.3%
- 持っている:7.5%
- 書いている:77.3%
- 50歳代
- 聞いたことがある:86.6%
- 持っている:8.5%
- 書いている:64.0%
- 60歳代
- 聞いたことがある:92.5%
- 持っている:16.0%
- 書いている:53.8%
- 70歳代以上
- 聞いたことがある:93.9%
- 持っている:24.2%
- 書いている:50.6%
エンディングノートを「知っている人」の割合は年齢が上がるほど高まり、60歳代以上では9割を超えます。
一方、実際にエンディングノートを「持っている人」割合は、70歳代以上(24.2%)が最も高い一方、50歳代まででは一桁台にとどまります。終活がまだ喫緊の課題ではない若年層では、やむを得ない傾向と言えそうです。
また、エンディングノートを「持っている人」のうち、「書いている人」の割合は、年齢が上がるにつれて下がっていき、70歳代以上(50.6%)が最低となりました。
高齢になるにつれて、書くべきこと・書きたいことが増えたり、健康面や認知面の理由などから筆が進みにくくなってしまったりする可能性があるのかもしれません。
エンディングノートのメリットは、お墓や葬式、家族信託や生前贈与など、複雑な手続きが必要となるアクションとは異なり、自分一人で手軽に始められる点。
金融資産やデジタル資産などを整理する第一歩として、エンディングノートの記入から取り組んでみることは、有効な手段の一つと言えるでしょう。
【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
- 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
- 調査対象 :20~89歳の男女
- 調査地域 :全国
- 調査方法 :インターネットリサーチ
- 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
- 回答者数 :2,052名
- 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
- 調査委託先 :株式会社マクロミル