物価高が家計を圧迫する中、消費者の財布の紐は固くなりがちです。
総務省の家計調査によると、2024年の消費支出は対前年同月で「名目増減率」では1月を除いて増加していますが、実質増減率は4月、7月、12月を除いて減少しています。
物価高によって、お店で見る価格を表す「名目」は増加しています。その影響で多くの家庭で買い控えが強まっていることから、商品が購入された数量や品質など、物価変動を除いた金額の動きを表す「実質」が減少しているとわかります。
つまり、私たちは以前よりもたくさんのお金を払っているものの、実際の価値としては節約志向になっている状態です。
このような時代において、Z世代はどのようなお金の価値観や消費行動をしているのでしょうか。今回はアンケート調査結果から見ていきましょう。
1. Z世代の「お買い物」スタイルとは? お金に対する価値観を深堀り
株式会社Paidyが実施した「お買い物に関する意識調査」から、Z世代のお買い物の仕方や価値観をご紹介します。
1.1 調査概要
- 調査地域:全国
- 対象者条件:1年に1回以上ECを使ってお買い物をする18~49歳 男女
- 調査手法:インターネット調査
- 実査期間:2025年8月14日(木)~8月21日(木)
- サンプル数:計400人
1.2 「メリハリ消費」と「柔軟な支払い」を重視
あなたのお金の価値観にあっていると感じるものをすべて選択してください
- 好きなことにはお金をかけ、節約するところは節約するといったメリハリのある消費をする:37.5%
- コストパフォーマンス(費用対効果)を重視する:37.0%
- その月の予定や出費に合わせて、柔軟に支払い方法を選びたい:31.0%
- タイムパフォーマンスを重視する(例:時間を節約できるなら、タクシーに乗るなど):27.0%
- 欲しいものはお金がたまるのを待つよりも、後払いや分割など支払い方を工夫しながらできるだけ早く手に入れたい: 22.5%
- お金の管理について知識を持つことは大切だと思う:22.0%
「あなたのお金の価値観にあっていると感じるもの」を尋ねたところ「好きなことにはお金をかけ、節約するところはするといったメリハリのある消費をする」が37.5%と最も多くなりました。
次いで「コストパフォーマンス(費用対効果)を重視する」が37.0%でした。このように、自分が重視したものにはお金をかけるものの、それ以外では節約するという傾向があるようです。
また「その月の予定や出費に合わせて、柔軟に支払い方法を選びたい」と考える人も31.0%に達しており、自分のライフスタイルに合わせて支払い方を工夫していることがうかがえます。
節約=我慢ではなく「自分の幸福度を最大化するための選択」としての節約。限られたお金の中で自分らしい価値の使い方を模索しているのが特徴といえるでしょう。
次章では、そんなZ世代が“夢につながるお買い物”をどんなタイミングでしているのかを見ていきましょう。
2. 「夢につながるお買い物」をするチャンスはいつ?
限られたお金の中で自分らしい価値の使い方を模索するZ世代。それでは大きな買い物は、どのような時期に目論見を立てているのでしょうか。
2.1 セールやキャンペーンを「後押し」と捉えるZ世代
あなたは「夢につながるお買い物」を、どのような時にしたいと思いますか?
- ボーナスや臨時収入が入った時:43.0%
- セールやキャンペーンのタイミング:32.5%
- 十分な貯金が溜まってから:29.0%
- 欲しいものが発売された時:28.5%
- 目標を達成した時や自分へのご褒美として:26.0%
- 周りの人が持ち始めた時:17.5%
夢につながるお買い物」をするタイミングとして「ボーナスや臨時収入が入った時」が43.0%で最も多く、次いで32.5%が「セールやキャンペーンのタイミング」と回答しています。
物価高のなかでも、お得に夢を叶えるための機会としてセールを活用するZ世代の姿が浮かび上がります。
2.2 セールで高まる購買意欲…約8割が「思い切れる」気分に
セール時期は、自分の未来や夢につながる買い物を「思い切ってみよう」と思う気持ちが高まりますか?
- とても高まる:24.5%
- まあまあ高まる:58.0%
- あまり高まらない:9.5%
- まったく高まらない:8.0%
「セール時期は、自分の未来や夢につながる大きな買い物を『思い切ってみよう』と思う気持ちが高まりますか?」という問いに、「とても高まる」が24.5%、「まあまあ高まる」が58.0%の計82.5%が「高まる」と回答しました。
物価高で諦めてしまいがちな大きな買い物も、セールを賢く利用することで実現しようとしていることがわかります。高額商品や「いつか欲しい」と考えるアイテムも、期間限定の価格設定によって現実的な選択肢へと変わるようです。
次の章では、そうした思い切りたい気持ちの根底にある「支払いの工夫」に注目します。
3. 「高すぎて諦める」7割超…希望をつなぐカギは分割払い?
「夢につながるお買い物をするとき、定価の金額が高いと諦めてしまいますか?」という問いに対して「とてもそう思う」が18.0%、「ややそう思う」が57.0%の計75%が「諦めることがある」と回答しました。
そうしたときに、カギとなるのが支払い方法。Z世代は分割払いに対してどのような考えをもっているのでしょうか。
3.1 Z世代は分割払いに肯定的:マネーパフォーマンス思考
セール時期の支払いにおいて、もし分割手数料が無料であれば分割払いを利用したいと思いますか?
〈18〜29歳〉
- 強くそう思う:25.0%
- ややそう思う:49.4%
- あまり思わない:12.8%
- 全く思わない:12.8%
〈30〜49歳〉
- 強くそう思う:13.4%
- ややそう思う:38.5%
- あまり思わない:20.3%
- 全く思わない:27.8%
「もし分割手数料が無料であれば、分割払いを利用したい」と考えるZ世代は「強くそう思う」と「ややそう思う」を合わせて74.4%に達しています。
この数字は30〜49歳の51.9%を大きく上回り、Z世代が費用を分割することで「諦めない」消費を志向しているとわかります。
Z世代にとって「分割払い」は借金ではなく、夢を現実に変えるための戦略的選択。お金の使い方に柔軟さと前向きさが共存しているといえるかもしれません。
では、次からは最新の消費支出の動向を見ていきましょう。
4. 家計調査に見る消費支出の動向:物価高でも支出は増加傾向
総務省「家計調査」から、2024年と2025年の四半期ごとの家計消費支出を見ていきましょう。
調査によると、2024年10月~12月期の消費支出は26万2019円で年間最高。年末商戦やイベントが支出を押し上げたと見られますが、2025年も光熱・水道費の増加が続いています。
4.1 四半期ごとの家計消費支出の内訳
〈2024年1〜3月期〉
- 消費支出:247,610円
- 食料:66,081円
- 住居:17,496円
- 水道光熱:22,559円
- 家具・家事用品:8,764円
- 被服及び履物:7,677円
〈2024年4〜6月期〉
- 消費支出:243,336円
- 食料:66,827円
- 住居:18,453円
- 光熱・水道:18,221円
- 家具・家事用品:9,869円
- 被服及び履物:8,202円
〈2024年7〜9月期〉
- 消費支出:243,416円
- 食料:69,872円
- 住居:19,305円
- 光熱・水道:17,231円
- 家具・家事用品:11,276円
- 被服及び履物:6,577円
〈2024年10〜12月期〉
- 消費支出:262,019円
- 食料:74,526円
- 住居:20,942円
- 光熱・水道:18,352円
- 家具・家事用品:10,123円
- 被服及び履物:8,558円
〈2025年1〜3月期〉
- 消費支出:257,021円
- 食料:68,844円
- 住居:17,643円
- 光熱・水道:25,731円
- 家具・家事用品:8,707円
- 被服及び履物:7,416円
〈2025年4〜6月期〉
- 消費支出:254,707円
- 食料:70,089円
- 住居:19,329円
- 光熱・水道:19,641円
- 家具・家事用品:10,225円
- 被服及び履物:8,442円
たとえば、2025年1月~3月期の光熱・水道費は2万5731円をマーク。前年同期の2万2559円から約3000円も増加していることが見て取れます。電気料金の値上がりなどが家計に直接的な影響を与えていることがわかります。
それでも食費・衣類など他項目も増えており、現実志向の消費傾向が読み取れます。
5. まとめ
Z世代は物価高の時代を、「メリハリ消費」や「賢いタイミングでの買い物」で乗り切ろうとしています。
とくにセール期間は、普段は手が届かない「夢につながる買い物」を実現する重要な機会と捉え、柔軟な支払い方法も活用して、欲しいものを手に入れる工夫をしているようです。
物価高という制約がある中でも自分にとって本当に価値のあるものにはお金を惜しまない、Z世代の「マネパ」を重視する賢い消費スタイルが明らかになったといえるでしょう。
参考資料
LIMO・U23編集部