2026年を迎え、新しい年の計画を立てている方もいらっしゃるかもしれません。来月2月は2か月に一度の年金支給月ですが、ご自身の年金生活について、あらためて考えてみる良い機会ではないでしょうか。

日本の公的年金は、しばしば「2階建て構造」と表現されます。これは、制度の土台となる1階部分の「国民年金(基礎年金)」と、その上に乗る2階部分の「厚生年金」という2つの制度で構成されているためです。

筆者は現役のファイナンシャルプランナー(FP)ですが今回は、公的年金の基本的な仕組みから、厚生年金と国民年金の平均的な受給額まで、最新の公的なデータを基に詳しく解説していきます。

ご自身の状況と照らし合わせながら、今後のライフプランを考える上での参考にしていただければ幸いです。

1. 【厚生年金】平均年収427万円・33年間、働いた女性「年金額はいくら?」

働き方や生き方が多様化する今、「将来、自分はどのくらいの年金を受け取れるんだろう?」と気になっている人もいるでしょう。

厚生労働省は、「多様なライフコースに応じた年金額の例」も示しており、ここでは、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類し、「2025年度に65歳になる人」を想定した年金額の概算が提示されています。

多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

 

1.1 ケース①:男性・厚生年金期間中心

《年金月額》17万3457円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万8671円
  • 厚生年金:10万4786円

1.2 ケース②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心

《年金月額》6万2344円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8008円
  • 厚生年金:1万4335円

1.3 ケース③:女性・厚生年金期間中心

《年金月額》13万2117円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:7万566円
  • 厚生年金:6万1551円

女性が正社員等として相応の期間働いたモデルケースでは、将来受け取れる年金は月額で13万2117円となります。これは「老齢基礎年金」7万566円に、キャリアに応じた「老齢厚生年金」6万1551円を合計したものです。

平均年収約427万円で約33年間、厚生年金に加入し続けた場合、毎月13万円強を受け取りながら老後を送るというイメージになります。

1.4 ケース④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心

《年金月額》6万636円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万2151円
  • 厚生年金:8485円

1.5 ケース⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心

《年金月額》7万6810円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万7754円
  • 厚生年金:9056円

これらの年金額の例を見ても分かるように、厚生年金の加入期間や現役時代の平均収入によって、年金月額は大きく変動します。

特に、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかによって、老後の受給額は大きく変わることが見て取れます。

2. 【厚生年金】60歳から90歳以上までの男女《平均年金月額》はいくら?

今のシニア層が実際に受け取れる年金額はいくらくらいなのでしょうか。

厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢ごとの平均年金月額を一覧形式で見てみましょう。

はじめに厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を確認します。

2.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金月額一覧表

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。

2.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金月額一覧表

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

2.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金月額一覧表

  • 80歳:15万3729円
  • 81歳:15万5460円
  • 82歳:15万7744円
  • 83歳:15万9994円
  • 84歳:16万2555円
  • 85歳:16万3947円
  • 86歳:16万5577円
  • 87歳:16万5557円
  • 88歳:16万6200円
  • 89歳:16万6767円

2.4 【90歳以上】厚生年金の年金月額一覧表

  • 90歳以上:16万4027円

標準的な年金受給開始年齢は65歳となっています。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、14万円~16万円台でした。

3. 【国民年金】60歳から90歳以上までの男女《平均年金月額》はいくら?

続いて、国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。

3.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金月額一覧表

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。

3.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金月額一覧表

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円 

3.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金月額一覧表

  • 80歳:5万8623円
  • 81歳:5万8269円
  • 82歳:5万8003円
  • 83歳:5万7857円
  • 84歳:5万9675円
  • 85歳:5万9425円
  • 86歳:5万9228円
  • 87歳:5万9204円
  • 88歳:5万8756円
  • 89歳:5万8572円

3.4 【90歳以上】国民年金の年金月額一覧表

  • 90歳以上:5万5633円

65歳以降の人が受給できる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、5万円~6万円台となっています。

4. 【厚生年金・国民年金】確定申告がいらない人はどんな人?2つの条件をFPが解説

公的年金は所得税法上「雑所得」として扱われますが、特定の条件を満たす場合は「確定申告不要制度」が適用され、確定申告の手続きが免除されます。

4.1 確定申告が不要になる2つの条件

以下の2つの条件を両方満たす場合、納税額が発生したとしても所得税などの確定申告は不要となります。

  • 公的年金など(※1)の収入金額の合計が400万円以下で、かつ、そのすべてが源泉徴収の対象であること
  • 公的年金などに係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下であること

※1 国民年金、厚生年金、共済組合から支給される老齢年金や恩給、過去の勤務先から支給される年金、確定給付企業年金などが該当します。
※2 生命保険契約などに基づく個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金などが該当します。

ただし、所得税の還付を受けたい場合(※3)には確定申告が必要です。

また、所得税の確定申告が不要な場合でも、源泉徴収票に記載されていない生命保険料控除や地震保険料控除などを適用したい場合や、公的年金以外の所得があり住民税の申告が必要な場合があります(※4)

ご自身の状況が不明な場合は、お住まいの市区町村役場に問い合わせてみるとよいでしょう。

※3 医療費控除や雑損控除などによって、公的年金から源泉徴収された所得税の還付を受けたい場合などです。
※4 所得税の確定申告を行えば、その内容が市区町村に共有されるため、別途住民税の申告を行う必要はありません。

4.2 スマホで完結する確定申告:2025年(令和7年)分からの変更点

2025年(令和7年)分の確定申告からは、スマートフォンとマイナンバーカードの連携がさらに強化され、手続きがより簡単になります。

スマートフォンのマイナンバーカード機能を利用することで、カード本体を読み取ることなく、申告書の作成からe-Taxでの送信までが可能になります。

申告書は、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に従って入力するだけで完成し、自動計算機能により計算ミスも防げます。

さらに、マイナポータル連携機能を使えば、保険料控除証明書や源泉徴収票といった必要書類の情報を自動で取得し、申告書に反映させることができます。これにより、書類を探して手入力する手間が省け、確定申告にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。

注意点:マイナンバーカードと電子証明書の有効期限

これらの便利なサービスを継続して利用するためには、マイナンバーカードと電子証明書の有効期限に注意が必要です。もし期限が切れてしまうと、e-Taxでの手続きができなくなります。

確定申告シーズンは市区町村の更新窓口が大変混雑するため、時間に余裕を持って早めに更新手続きを済ませておくことをおすすめします。

5. 【厚生年金・国民年金】受給額には大きな個人差あり

今回は、公的年金の仕組みから平均受給額、そして年金生活者の家計収支の実態までを詳しく見てきました。

データからは、厚生年金や国民年金の受給額には大きな個人差があること、そして平均的な年金収入だけでは家計が赤字になる世帯も少なくないという現実が浮かび上がります。

ご自身の将来の生活をより具体的にイメージするためにも、まずは「ねんきんネット」などを活用して、ご自身の年金見込額を確認してみてはいかがでしょうか。

その上で、現在の家計状況を見直し、ゆとりある老後を迎えるためにどのような準備ができるかを考えてみることが大切です。

この記事が、皆さまの豊かなセカンドライフに向けた計画づくりの一助となれば幸いです。

参考資料