秋から冬へと季節が移り変わり、街にも冷たい風が吹き始めました。新しい年を前に「もう少し働きたい」「新しいことに挑戦したい」と考える方もいるのではないでしょうか。

2025年6月に成立した年金制度改正法では、働くシニアを後押しする「在職老齢年金の見直し」が盛り込まれました。
今回は、改正のポイントとともに、再就職やスキルアップを支援する公的制度「ハロートレーニング」について紹介します。

1. 年金制度改正「働くシニアを後押し!」在職老齢年金の見直しとは?

内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上の就業者数と就業率は上昇傾向にあります。男女別に見た、各年齢層での就業者の割合は以下の通りです。

  • 65~69歳:男性62.8%、女性44.7%
  • 70~74歳:男性43.8%、女性27.3%
  • 75歳以上:男性17.3%、女性8.5%

65~69歳の男性の62.8%、女性の44.7%が就業しているなど、65歳以降も働き続けるシニアが増加しています。このような働く意欲の高いシニアを後押しする改正が、2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」に盛り込まれました。この法改正では、多様な働き方やライフスタイルに対応できる年金制度を目的としています。また、働くシニアに影響が大きい「在職老齢年金制度」が見直されます。

1.1 在職老齢年金の見直し「支給停止調整額はいくらになる?」

在職老齢年金制度の見直し

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

在職老齢年金は、老齢厚生年金を受給しながら働く場合に、年金と報酬の合計が基準額を超えると年金が減額される制度です。支給停止調整額は年度ごとに少しずつ見直しがおこなわれてきました。

  • 2022年度:47万円
  • 2023年度:48万円
  • 2024年度:50万円
  • 2025年度:51万円
  • 2026年度:62万円

今回の改正(2026年4月から適用)では、51万円(2025年度金額)から62万円へと大幅に引き上げられることが決まりました。厚生労働省の試算では、これにより新たに約20万人が年金を全額受給できるようになるとされています。年金カットを懸念して就業を控えていたシニアの「働き控え」が緩和され、より柔軟で自由な働き方が選択可能になると期待されています。

このような背景の中、「ハロートレーニング」は、新たなキャリアを目指す人々を支援する公的な職業訓練制度です。これは特定の年代に限定されるものではなく、再就職やスキルアップを目指す様々な年代(求職者や在職者など)が利用しています。次でくわしくみていきましょう。