3. 日本の現役世代に負担集中、「圧倒的に負担が給付を上回る構造」
この増大する国民負担が、最も重くのしかかっているのが現役世代です。ライフサイクルでみた給付と負担のイメージとして、厚生労働省の「ライフサイクルでみた社会保険及び保育・教育等サービスの給付と負担のイメージ」をみていきましょう。
社会保障制度は、子どもから子育て世代、お年寄りまですべての人が安心できるよう、多種多様なサービスを提供するために成り立っています。しかし、その持続可能性を保ち、将来世代に過度な負担を先送りしないために、各種の負担が設定されています。
「ライフサイクルでみた社会保険及び保育・教育等サービスの給付と負担のイメージ」が示すように、児童手当などがある幼少期や、老齢年金などを受け取る高齢期には「給付」が「負担」を上回ります。一方で、働き盛りの20代後半から50代にかけては、圧倒的に「負担」が「給付」を上回る構造になっていることがわかります。
所得税や住民税に加え、特に健康保険や厚生年金などの社会保険料が、現役世代の肩に重くのしかかっています。子育てや教育費の出費も重なるこの世代にとって、さらにこの重い社会保障費が加わることは、「家計のひっ迫」を招く大きな要因となっているのです。