10月も物価上昇が続く1か月となりました。値上げするのは3000品目を超えると報じられ、ここ数年続くモノの値段の上がり方に改めて驚きを感じている方も多いのではないでしょうか。

物価高の影響は、年金世帯やひとり親世帯など、収入が少ない世帯には深刻です。収入が限られていれば、節約するにも限界があります。また、支出が増えれば貯蓄ができず、将来の生活への影響も懸念されます。

そこで今回は、年金世帯の生活にクローズアップして、シニア世代の年金額についてお伝えします。

厚生年金+国民年金で月20万円以上受け取っている人がどのくらいいるのか、また公的年金制度についても解説するので、老後資金を考える上での参考にしてみてください。

1. 厚生年金と国民年金 日本の公的年金制度の仕組み

1.1 国民年金とは?

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金制度です。

職業などによって、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3つに分類され、とくに厚生年金に加入していない人は、第1号被保険者か第3号被保険者のいずれかとなります。

  • 第1号被保険者・・・自営業者や学生、無職の方など
  • 第2号被保険者・・・会社員や公務員など
  • 第3号被保険者・・・第2号被保険者に扶養されている配偶者

自営業者やフリーランス、学生などは第1号被保険者となり、保険料は自分で納付します。保険料は毎年度見直され、令和7年度の国民年金保険料は1万7510円です。

国民年金の保険料は、原則として40年間(480カ月)納付する必要があり、滞納などが無く、全期間納付すると満額の年金として、6万9308円(令和7年度)が受け取れます。

なお、学生の方や事情により納付が困難な方には免除や猶予などの特例措置が設けられています。

会社員や公務員は第2号被保険者に分類され、国民年金と厚生年金、両方の制度に加入することになります。保険料は会社と折半して負担し、厚生年金保険料として給与から天引きされます。

また、第3号被保険者は第2号被保険者の扶養者なので、保険料は加入制度が負担し自己負担がありません。

1.2 厚生年金とは?

厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度です。厚生年金に加入している人は、同時に国民年金にも加入しているので、将来は基礎年金と厚生年金の「2本立て」で年金を受け取れます。

そのため、国民年金(老齢基礎年金)のみを受け取っている人と厚生年金に長く加入している方の年金額には、大きな差が生じます。

厚生年金保険料は、給料や賞与額から標準報酬月額、標準賞与額を算定し、これに保険料率をかけて計算されます。保険料は事業主と被保険者が折半して支払います。

将来の年金額は、給与や賞与、加入期間によって変動します。そのため、働き方や収入水準によって、年金額に個人差が生じやすくなるのが特徴です。

次の章では、実際にシニア世代が受け取っている年金額を見ていきましょう。